選り好み【選り好み】
「君は食の選り好みが激しいね」
「……え?」
実験の合間を縫ってようやくありつけた食事の席。真向いに座るマユリに指摘された浦原は自身の前に並ぶ定食に視線を落とし、それから「ああ……」と呟き苦く笑った。
浦原が皿の端に避けた苦手な食材、一口食べてつづきをやめた残骸を一瞥したマユリは眉をひそめ呆れたような表情で見つめる。
「いやぁ、わかっちゃいます? ……よねぇ。夜一サンにもよく注意されてました」
バツが悪そうに頭を掻く浦原にマユリが小さくため息を吐く。
「別に君が何を食べようが食べまいが私は構わないのだが、少々気になったものでネ」
「そうですよね、あまり気持ちいいものじゃないでしょう。涅さんはいつも食べ方きれいだし、気をつけますね」
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