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    まさよし

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    まさよし

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    オーカイ ドS攻め様になりたいオエ(なれません)
    現パロだけど騎士様と呼んでいます 特に理由付けとかはないです 騎士様って呼んでる方が可愛いからです

    「ちゃんと言ったとおりに買ってきた?」
     帰ってきた騎士様に、おかえり、と言ったあとすぐにそう投げかける。騎士様はそれに答えず、ただいま、とだけ言って、溜め息まじりにコンビニのレジ袋をテーブルの上に置いた。乱暴に置くものだから、ビニールががさがさと音を立てる。半透明のそれ越しに、僕が買ってくるように命令したもの……ゴムの入った黒い箱がしっかり入っているのが見えた。
    「買ってきたけど……なんで三箱もいるんだよ」
     騎士様はまたひとつ大きな溜め息をついた。僕を見る、というより睨んでいるその目からは小さな軽蔑の色がにじんでいた。騎士様のくせに飼い主の僕に反抗的な態度を見せてくるなんて許せないことだけれど、言いつけどおりにおつかいが出来たんだから今回ばかりは不問にしてあげる。
    「だっておまえ、一回やり出したらけだものみたいに夢中になるんだもの。これくらい用意しておいたほうが安心出来るでしょ?」
     笑いながら、まだ立ったままでいる騎士様をからかってやる。
     おまえのために考えてやったのに。それともいらないの? つけずにやってほしい? あはは、けだものの考えてることはやっぱり僕には理解でき、
    「いつも一回で終わってないか?」
     理解できな、な……。
    「い、一回で終わらせてやってるんだよ!」
    「ああ、俺のこと気遣ってくれてるのか? おまえが満足するまでやってくれていいのに」
    「気遣うわけないだろ! 馬鹿! この……えっと……馬鹿!」
     変な勘違いするな、飼い主の僕がペットのおまえを気遣うわけないだろ! そう言いたいのに口からは子どもの悪口みたいな言葉しか出てこない。ちがう、僕はただ、その……これ以上やったら騎士様が苦しいかなって思ってるだけなのに!
    「……あ、そうか! これからはもっとしたくてこんなに買ってこさせたのか?」
     は?
    「そ、んなわけないだろ、馬鹿! 馬鹿、けだもの、……馬鹿! けだもの! 馬鹿!」
    「わ、わかった、わかったから落ち着いてくれよ」
     いつの間にか隣に座っていた騎士様が、握りこぶしを作っていた僕の手をそっと手で包んだ。元々体温が高めなのもあるけど、さっきまで外にいたからか僕の手と比べるとずいぶんと熱い。もう夕方だけどそんなに暑いんだ。冷房ちょっと強くしてやろうかな。いや、暑苦しいからだけど。横に座られるだけでなんか暑い気がしていやな気分だから、僕のためにやるんだけど。……僕誰に言い訳してるの? いや、言い訳とかじゃなくて本心なんだけど。
    「……どんな顔してた?」
    「え?」
    「店員だよ」
     騎士様の手の温もりを感じているうちに気持ちが落ち着いてきて、ようやく思い出した。そうだ、これを聞くために買ってこさせたんだ。家の最寄りにある、いつも使うコンビニを指定して、三箱も。
    「もうあそこ使えないね?」
    「なんでだ?」
    「はぁ? 気まずいでしょ? あんなの三箱も買って……とんだ淫乱だって思われてるよ、おまえ」
     目を細めてくすくすと笑ってやる。騎士様はきょとんとした顔で僕を見た。自分がどんなに恥ずかしいことをしたのか、まだ理解してないみたい。でも、飲み込みの悪い騎士様でも、そろそろ気づくだろう。そうしてその顔が真っ赤に染まっていくのを想像するだけで面白くなってきた。
    「いや、セルフレジで買ったから大丈夫だぞ」
     …………。

     それから何回もこういうことを繰り返して、ようやくわかった。騎士様は馬鹿だから、遠回しなやり方だと羞恥を感じないんだ。
     僕は飼い主で騎士様はペットなのに、あいつはそれをまったく理解出来てない。一回それをはっきり言ってやったら「犬が飼いたいのか?」とか「え、俺を?」とか「あはは、なんだそれ。ご主人様、わんわーん! ……こんな感じか?」とか言われて本当に腹が立って、それから一言も喋らずにいた。そうしたら自分がどんなにひどい間違いを犯したかわかるだろうと思ったのに、騎士様は「眠いなら先に寝ていいぞ」とだけ言って映画を観始めようとしてて最悪だった。それから、なに観てるのって聞いてやったのに、僕から話しかけてやったんだから機嫌を直してくれてありがとうって泣きながらすがりついてくるべきなのに、騎士様は「トイストーリー」とだけ言って画面にくぎ付けになっていて最悪を更新した。
     というわけで、こういう言葉責めとかじゃ無駄なんだとわかった。あいつは、もっと直接的に辱めてやらないと理解出来ないんだ。
     今日やろうとしていることは、相当恥ずかしいだろうし、きっと顔を真っ赤にして……泣き出しちゃうかもしれない。でも、それくらいのことをしないと理解出来ない馬鹿な騎士様が悪いんだよ。今日はもうどんなに泣いて苦しもうとやめてなんかやらない。まあ本当に泣いてたらちょっとくらい休ませてやってもいいけど。

    「ねえ騎士様、これなんだと思う?」
     答えのわかっている問いを、騎士様の耳元でささやく。はじめて見たとしても、わからないはずがない。ベッドサイドに置いてある小さな棚から取り出して見せつけているのは、いわゆる大人の玩具というやつだ。用途はひと目でわかるはずだ。それに、一番すごそうなやつを買ったから、これを使われたらどんなことになってしまうか考えただけで怖くて泣き出しちゃうんじゃないかな。まあ本当に泣き出したら脅しで買ってきただけでべつに使うつもりはないよってバラしてやってもいいけど。
     ていうかこれ本当に……写真で見るより本当に、その……こんなの人に使っていいの? エロいとかより先に心配に……いや、こいつは僕のペットで所有物だから、僕が壊したってかまわないんだけどさ。いやでもさすがにこんなの……。
    「ディルドか? 漫画とかで見たことあるな」
    「え?」
    「へえー、本物はこんな感じなのか」
     騎士様は泣き出すどころか、僕の手からそれをひょいと取ってまじまじと見始めた。な、え?
    「き、騎士様、そんなもの読むの?」
    「ええ? 誰でもちょっとは読むだろ」
     だ、誰でも? 騎士様がそんなものを読んでいたってことすら飲み込めてないのに、こんなものが出てくる漫画を、だ、誰でも?
    「オーエンはほんとそういうの疎いよな。純粋なんだな」
     半ば放心状態にあったけれど、その言葉でようやく意識がしっかりとしてきた。純粋? 馬鹿にされた怒りで顔が熱くなっていく。僕はおまえをペットとして好き勝手に辱めてやりたいような人間なんだよ。そうしたらおまえは僕の言いなりになって、どんなに恥ずかしい命令でも絶対に聞かなきゃいけなくなるんだ。そんなことを望んでいる僕が、純粋?
    「……おまえは変態だね、ド変態」
     そうだ、こいつを辱めてやるのが目的だったんだ。ちょっと思ってたのとちがうけど、今からでもまだ間に合う。自分が変態の淫乱なんだってことを理解させるんだ。そうしたら自分から僕のペットにしてくれって、俺のこともっと虐めてくれって言い出すかもしれない。物欲しそうな顔で泣いて頼んできたら、こんな変態を飼ってあげる優しいご主人様は僕しかいないからねって頭を撫でてやってもいいよ?
    「まあオーエンにはちょっと刺激が強すぎたな。あんまりそういう店には……あ、通販で買ったのか? そういうサイトは見ない方がいいぞ!」
     は?
    「あ……その、おまえは知らないのかもしれないけど、年齢確認を求められるときってな、本当に年齢を知りたいんじゃなくて、こういう物を取り扱ってるって意味で……」
     は?
    「それくらい知ってるよ!」
    「そうなのか? これなんだと思う、って聞いてきたくらいだからなんにも知らないんだと思ったんだが……」
    「知ってて聞いたんだよ!」
    「え……なんで?」
     いやそれは、おまえを辱めてやろうとして……と言いかけて思いとどまった。失敗した計画の意味を説明するなんて情けない真似はしたくない。
     ここまで直接的なことをしてやっても恥ずかしがるどころか、あまつさえ変な勘違いをして僕に的はずれなことを言い出すなんて、こいつは本当にどれだけ鈍いんだろう。どうやったらちゃんと自分の立場を正しく理解するんだ。
    「よくわからないけど、怒るなよ。大丈夫だって、おまえにそんなもの使う気なんてないから」
     ……は?
     思案していた僕の耳に、信じられない言葉が転がり込んできた。さっきまでも思っていたものとまるでちがう反応ばかりされていたけど、これはさすがに聞き捨てならない。
     主人である僕を辱めようとする悪いペットには、ちゃんとした教育が必要だよね? 自分は僕に従順になるべきで、僕のどんな言葉や命令も受け入れるべき存在だって。それで、そういう行為をするときは、自分から虐めてほしいってご主人様に懇願するべきなんだって、その体にいやというくらい教え込んでやらなきゃいけない。
    「ねえ、もしかして騎士様、僕に使うつもりだったの? いつも僕に組み敷かれて情けなく喘いでるくせに?」
    「やってる時はおまえも結構うるさいぞ」
    「……口答えするなよ! 馬鹿! うるさくない! おまえの方が絶対うるさい!」
    「わ、わかったよ。次からは声出すの我慢するから」
    「しなくていい!」
    「どうしたらいいんだよ……」
     騎士様は溜め息をつきながら頭を搔いている。まるで僕の扱いに困っているみたいに。心外だ。困っているのは僕のほうだ。どうしてこんなに僕の言うことを理解出来ないんだ、こいつは。あと僕は絶対うるさくない。
    「と、とにかく、えっと……。は、はは。騎士様、そんなこと考えてたんだ? 真面目で優しいふりして、本当は僕のこと抱きたいって、けだものみたいな欲望を持ってたんだね?」
     気を取り直して教育を再開する。さすがにここまで言えば、自分がどんなに恥ずかしいことを考えていたかわかるだろう。それにしても、騎士様が僕のことを抱きたいなんて分不相応な欲望を持っていたなんて思いもしてなかった。なんでだろう。やっぱり男だし抱く側になりたいの? そんなこと考えられないくらいにしっかりと教育を……。いや、でも、もう何回も抱いてやってるはずだよ。騎士様だってそれで満足してるはずなのに、なんで抱く側になりたいなんて……。え……僕に抱かれるのってあんまり気持ちよくないの? まさか、そんな、でも……。
    「いや、おまえが用意したんだからおまえが使われたいんだと思って」
    「は?」
    「だから、あんまり深く考えてなかっただけだよ」
     なんだ、勘違いしてただけなんだ。よかった。……いや、よくない。そんな気持ちの悪い勘違いしないでよ。もう二度とそんな勘違いをさせないように、自分は僕に好き勝手に扱われる従順なペットになるべきなんだって体に刻み込んでやるからな。
    「というか俺のこと真面目で優しいと思ってくれてたのか? はは、なんか恥ずかしいな」
     騎士様は頬を赤らめて僕から目を逸らした。そういう恥ずかしがらせ方をしたかったんじゃない。
    「……なに話を逸らそうとしてるの? さっきも言ったけど、おまえは抱かれる側なんだよ。この玩具だっていっぱい使ってあげる。騎士様は変態だからうれしいでしょ?」
    「オ、オーエン……?」
     騎士様は不安げな瞳で僕の顔色をうかがっている。そう、僕はこういう顔が見たかったんだ。ようやくここまで来た。あとはこの言葉を実行するだけだ。主人であるこの僕にこんなに手間をかけさせた悪いペットには、教育……いや、お仕置きをしてあげなくちゃね。
    「大丈夫か? 無理するなよ?」
    「は?」
    「さっきからずっと変態変態言ってるし……おまえそんなことしたくないんだろ?」
    「ちがう! 僕は……」
    「わかってるよ、間違えて買っちまったんだよな? 捨てる時は紙袋かなにかに入れておけば見えないし、大丈夫だよ。安心しろって」
     …………。
     な、なんで?
     騎士様は僕を安心させるように微笑みかけて、頭をそっと撫でてきた。こんなのおかしい。絶対におかしい。騎士様は泣きながらやめてくれって言うべきなのに。それを無視した僕に無理やりひどいことをされて、いやがってるくせに気持ちよくなって、それを見た僕が……。えっと、こう、騎士様を辱めるような言葉を言って……。その……そんな、そういう感じになるべきなのに! なんで泣いてすがりつくどころか、慈しむような目で僕を見てくるんだよ!
    「だ、だから、おまえは変態だから……だから……」
    「うんうん、わかったから。今日は一緒にトイストーリー観ような」
     え、え? なんでトイストーリー観ようとしてるわけ? わざわざこんなものまで用意したのに、辱めてそういうムードを作ってやろうと思ってたのに、僕は、僕はご主人様なのに……。
    「中盤にあるカーチェイスからの銃撃戦は何回観ても圧倒されるよなぁ」
     それ多分トイストーリーじゃないし……。
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    Replies from the creator

    まさよし

    DOODLEオーカイ 現パロ 社会人してる
     日付が変わってもう小一時間経っている。予定通り進んでいれば今頃はとっくに家に帰ってベッドの中に入っているはずだったのに、現実の僕はほとんど通ったこともないような路上で寒さに震えそうになりながらゆっくり歩いている。原因は隣にいる酔っ払いで、ゆっくり歩いているのもこいつの歩幅に合わせているせいだ。
     カインのことはずっと前から気に入らなかった。第一印象から最悪だった。就活で神経をすり減らしたのだろう陰気な雰囲気の両隣のやつらと違って、まぶしいほどの笑顔で自己紹介を始めたときからずっと。実際に働き始めてからも、例の陰気そうな同期の連中に明るく声をかけて、初対面らしいのにあっという間に仲良くなっていた。先輩や上司からの印象も、ノリのいい元気な、仕事の飲み込みも早い将来有望な後輩、といったもので固まっているようだった。が、もちろん僕はそんな感情は抱いていなかった。僕はあいつに対して、弱みを見つけて壊してやりたい、その評価をなんとかしてどん底まで落としてやりたい、そんな気持ちしか持っていなかった。そのために面倒な仕事をめちゃくちゃな納期で押し付けても、あいつは、勉強になります、の一言で受け入れた。しかも僕の大嫌いなあの太陽みたいな笑顔すら浮かべているのだから最悪だった。
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