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    mikan_hero11

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    mikan_hero11

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    キスブラワンドロライで「バレンタイン」のお題を借りて書いた作品
    キース目線とブラッド目線どちらもあります
    ルーキーぐらいのイメージの二人

    キースside
     ヒーローがパトロール中にプレゼントをもらうことは少なくない。その中でも、誕生日とかちょうどこの時期、バレンタイン前後とかはパトロールに出れば必ずと言って良いほどにプレゼントをもらう。今日もまた、パトロールをしているとあっという間にファンに囲まれた。仲間達がファンに囲まれている様子をぼんやりと少し離れたところから見る。
     ジェイは言うまでもなく市民に人気のスーパーヒーローでファンサービスも上手いから老若男女いろんな人に囲まれてチョコを渡されている。ディノは持ち前の明るさもあって、あっという間にファンができて今日もラブアンドピースなんて言いながらファンにチョコをもらっている。少し前までファンサービスとかぎこちなかったはずのブラッドもファン、主に若い女性囲まれてキャーキャー言われている。やっぱりみんな顔がいいやつが好きなんだなと思いながらぼんやりとその様子をうかがう。
    「あの~…すみません。」
     いきなり控えな声で話かけられる。声のする方を向けばそこには2人の女の子がいた。声の主であろう女の子は手に何やら綺麗にラッピングされた箱を持ってもじもじしている。その隣でもう1人の女の子が早くお願いしてみなよとか何とか小声で言っている。声の主の女の子はやっと意を決したのかその手に持つ箱をずいっと押しつけるように渡してくる。
    「あのっこれブラッドさんに自分で渡そうとすると緊張して…渡せないので…あの…キースさんから渡してもらえないでしょうか…」
     ああと理解する。ファンに囲まれていて、その上緊張して渡す勇気がないからいつも一緒に行動しているメンバーの中でも人に囲まれていなくて頼みやすそうなオレに任せたという訳か。正直めんどくさい。断ろうかと思い、口を開こうとすると、
    「これお願いします」
    「あっ、おい」
     無理矢理、その手に持っていた箱とそれから紙切れを押しつけられる。制止の声も聞かずに2人はそそくさと走って行く。手を伸ばして、少し前に出た拍子に紙切れが落ちる。
    「はぁ…」
     思わずため息が漏れる。無理にでも頼まれたものだ、仕方がないからブラッドに渡すか。そう思いながら落ちた紙切れを拾う。それは見ればメッセージカードで、一言「好きです。」と書かれていた。何ともストレートな愛の表現に思わずこっちが恥ずかしくなってくる。
    「何をしている。」
     後ろから聞き慣れた声が後ろから飛んでくる。
    「うおっ、ブラッド」
     振り返って顔を見れば不思議そうな顔をしている、それから視線をオレの手元に移す。
    「キース…それは…」
    「あぁ、待て待てブラッド、これはお前にだ」
    「俺に?」
    「あぁ、お前に渡してくれって、お前のファンから預かったんだよ」
    「そうか…ありがとう」
    言って、ブラッドに箱とメッセージカードを渡す。心なしかブラッドが嬉しそうに見える。なんとなく、もやっとした感覚が生まれる。この感覚は何だ?
    「キース?どうした?変な顔をしているが」
    「え?いや?なんもないけど、そんなに変な顔してたか?」
    「ああ」
     ブラッドがこくりと頷く、もやもやとした感覚が顔に出ていたらしい。それから、何となくブラッドにチョコを渡すという考えが生まれてくる。自分でも何でこんなことを考えているのかわからない、何がそんなに自分が突き動かしているのかわからないけれどもその意思が変わる気配はなかった。
     その後もいろんな人にもみくちゃになりながらやっていたパトロールがやっと終わる。ファンにほぼすっと囲まれていたオレ以外の3人は目に見えて疲弊している。
    「お疲れ、3人とも今日は早く帰ってゆっくり休んでくれ。」
    「ありがと~、ジェイ。今日は疲れたや…キースもブラッドも帰ろ~」
    「ああ」
    「あ~、わりぃ、オレちょっとよりたいとこあるから先に帰っててくれ。」
     その一言に、ディノもブラッドもジェイまで目を見開いて驚いている。オレがどっかに行くだけでそんなに珍しいか。
    「キースが一番早くも戻りたいって言うと思ってたからびっくりした…」
    「どこに行くかは分からないが気をつけて行くんだぞ」
    「ああ、ありがと」
     それから3人と分かれてチョコを買いに行く。どこで買えばいいかわからなかったが、適当にモールに行ってみるとまさにバレンタインのための店ですと物語っているように装飾を施されている店が目に入る。とりあえずと思って入ってみると女性客が多く、入ったことを後悔する。しかし、わざわざ入って何も買わないで買えることに少し気が引けた。仕方がないから、さっさと適当にチョコを見繕って出ることにする。
    (というか…なんでオレこんなむきになってんだよ…)
     自分がこんなことをしていることに改めて疑問を持ち始めるやっぱり帰ろうかと思った時、紫の包装に少しお高そうな装飾が施されたチョコが目に入る。そのデザインにどことなくブラッドっぽさを感じる、気がつけば手に取ってレジに並んでいた。そのままさっさと会計を済ませてこの店を出よう。時間がたつにつれ女性客の多い店にみせに男の自分がいることに居心地の悪さを感じる。会計の順番が回ってきてさっさと終わらせて店を出ようと思っていると、「おまけです。」という一言と笑顔と一緒に真っ白なハート型のメッセージカードを渡される。一足でも早く帰りたくて、とりあえずそのメッセージカードも受け取って早足でタワーへの帰路に着いた。
     タワーに着いて、部屋に戻ってからどっと後悔が押し寄せてくる。チョコを買ったのはいいが、何て言って渡せば良いんだ?思いつきで買ったもんだから、どう渡すかもまったく考えていなかった。それから、
    「これもどうすっかなぁ…」
     おまけと言われて渡されたハート型のメッセージカードをつまみあげる。
    「何か書くか…?いや、そもそもどうやって渡すかも決まってないわ」
     困って、ふと今日、ファンに代わりにブラッドにチョコを渡してくれと頼まれた事を思い出す。このチョコもファンに預かったって言えば良いんじゃねえかと思いつく。自分にしては名案じゃないかと思う。そうと決まればメッセージカードをどうするか。いや、そもそも律儀に書く必要もないんじゃないか?目の前に広げたカードとペンを見ながらそんなことを思う。けれど、無意識のうちにペンを取ってカードに文字を綴っていた。昼間に見たカードと同じように「好きです」と。
    「やべっ…」
     思わず声が漏れる。きっと今日のパトロールの事を思い出したからだ。しかし、書いたものは書いたもの、それにファンから預かったものして渡すんだから別になんだっていいじゃねえか。何かに吹っ切れて、さっき買ったチョコと「好きです」と書かれたカードをとって部屋を出る。
     部屋を出て少し廊下を歩くとすぐにブラッドを見つける事ができた。
    「お~い、ブラッド」
     呼びかければすぐにこちらを振り返った。
    「キース?どうしたんだ?」
     振り返ったその顔に、思わずドキリとした。今日はなんだか変な感じだ。さっさと渡して部屋に戻ることにしよう。
    「これさ、さっきの帰りにお前にって預かったんだよ」
     そう言いながら、手に持っていたチョコとカードを渡す。
    「俺に…?」
     ブラッドは珍しくわかりやすく少し驚いた表情をして、チョコとカードを受け取る。それから、
    「ありがとう」
     ふっと昼間とは違う表情と雰囲気に笑顔を浮かべた。昼間よりもずっと嬉しそうに見える。その顔にドキリと心臓が脈打つ。これはやばい。咄嗟にそう思って、その場を早く離れることにする。
    「じゃあ、オレもう行くから」
    「そうか…ありがとう、キース」
     最後の言葉に返事せずそそくさとその場を後にする。小走りで自分の部屋に向かう。頬に熱が集中しているのが分かる。部屋に入ってその場に思わずしゃがみ込む
    「あ~~~…」
     声が漏れる。頬に熱が集まっているのが分かる。今、鏡を見てみれば絶対に赤くなっている。小走りが原因じゃない胸の動機を感じる。ここまで来たら嫌でも自分でも分かる、いつもと違う行動。その原因が全部分かった。
    「オレ…ブラッドの事好きじゃん…」
     あいつがファンからもらった「好き」といメッセージ付きのチョコに嬉しそうにしてたときに持っていた感情は嫉妬で、このバレンタインという日にかこつけてチョコを送るのも全部あいつが好きだからだ。気がついたら、全部分かってしまう、さっきカードに「好きです」と書いたのは誰かの影響でも何でもなく自分の本心だったと。
    「くそっ…」
     気がついたら止らない加速した思いに悪態をつく。頬に集まった熱とさっきからうるさい心臓はしばらくは落ち着いてくれなさそうだ。

    ブラッドside
     今日はいつにもまして疲れた、パトロール中にファンに囲まれてろくに身動きも取れず、ずっと笑顔を絶やさずにいることは思っていたよりもずっと大変だった。今日はジェイの言ったとおりすぐにタワーに戻って休もう。
    「ねえねえ、ブラッド~」
    「どうしたディノ?」
    「キースがどこに行ったか気にならない?」
     ニコニコとしながら問いかけてくる。パトロール終わり、キースはよりたいところがあると言ってさっさと行ってしまった。確かに、キースが自分からどこかに行くのは滅多にないことから気にならないと言えば嘘になる。
    「やっぱりブラッドも気になるよね!」
     ディノは表情の機微を読み取るのが上手いからきっと心の内が微かに表情に表れたのを読んだのだろう。
    「それでさ、キースがどこに行くか追いかけてみない?」
     その提案に好奇心がくすぐられる。どうしていつもと違う行動を取るのか気になっていたから俺はディノの提案に同意した。
     キースが通ったであろう道を行くとすぐに目的の人物は見つかった。追いかけていると気づけば、モールに着いていた。用事というのは何かしら買い物に来たのだろうか。そのまま追いかければ、バレンタインのために装飾が施された店に入っていく。
    「えぇ~~~~~!キースバレンタインのお店入っていったよ!」
    「入っていったな」
    「誰かにチョコを買ってあげるのかな」
    「えっ…?」
    「だってそうだろ?わざわざこういうお店に来るって事はチョコを買って誰かにあげるためだと思うんだけど…キースにもなんだかんだでバレンタインにチョコをあげたくなる好きな人がいるんだな!」
     好きな人、その言葉に胸がちくりと痛む。いや、別にキースが誰にチョコをあげようと関係ない。なのに、どうしてこんなに気になっているんだ。
    「あっ、キースもうでてきた!」
     その一言にばっと顔を上げて先ほどキースが入って行った店を見る。見れば、チョコを手に持っている。その箱はこの距離ではあまりよく分からないが、何となく紫の包装がされていることがわかる。
    「なんか…ブラッドみたいなチョコだね!」
    「え?」
    「あっ、キースこっちに来るよ!隠れなきゃ!」
     2人でキースに気づかれないように隠れる。その場をなんとかのりすごして、再びキースの後を追う。しかし、その後は誰かの家に行くわけでもなくまっすぐにタワーに戻る。そこで、ディノと俺はキースの尾行をやめてそれぞれの部屋に戻ることにする。
     あの時買ったチョコ、キースは誰に渡すのだろうか。ぼんやりとキースの買ったチョコを思い出す。キースが渡すであろう顔も知らない相手にもやりとしたよくわからない感情を持つ。ふるふると首をふる、いくら考えても自分には関係ない、いいかげん考える事をやめよう。考え事をして止めていた足を再び動かそうとしたとき、声をかけられる。
    「お~い、ブラッド」
    「キース?どうしたんだ?」
     振り返りながら返事をする。すると、手に持っていた物をこちらに渡してくる。
    「これさ、さっきの帰りにお前にって預かったんだよ」
    「俺に…?」
     それは、見間違いでなければさっきキースが自分で買っていたものと同じようなものに見える。はっきりと見たわけではないが、特徴が一致している。キースがチョコを渡したいと思っていた相手は俺だった?勘違いだったとしてもその事実に心が温かくなったように感じる。自然と頬が緩んでいるのが分かる。
    「ありがとう」
     その表情のまま、キースに礼を言う。キースは少し変な動きをしたと思ったら慌てて体を切り返す。
    「じゃあ、オレもう行くから」
    「そうか…ありがとう、キース」
     そう言うとキースは足早に今来たであろう道を戻っていった。それからもう一度キースからもらったチョコを見る。すると、隠れていたカードに気づく。ハート型のカードにキースの字で「好きです」と。その文字を見て頬に熱が集まる。その一言になぜか感情が高ぶる自分がいる。不思議な高揚感に動悸が止らない。この感情はなんだろう。「好きです」の一言にどうしてこんなに喜んでいるんだろう。生まれる疑問に見つからない答えを探しながら自分の部屋に向かう。
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    mikan_hero11

    DONEご飯キスブラ開催おめでとうございます!
    キースが作ったり、ブラッドが作ったりして、それを食べている話。自分の書きたいままに書いているため、寄り道をたくさんしています、ズレがあるかもしれませんが、頭を空っぽにして読んでください。
    どうでもいいと思いますが、料理に関しての持論は目分量でも案外何とかなるです。
    作る理由は ブラッドとオフが被った。運良く重なったのか、ブラッドがこっそり調整したのかは分からないが、いずれにしろオフが重なるのは本当に久しぶりだった。いや、実際には何度か被ってはいたが、緊急出動なり、もともと被っていたがどちらかが急に仕事だの用事だのと神様にいたずらにもてあそばれていた。
    そんなわけで、オフが重なっている日の1週間くらい前からオレはらしくなく、ティーン顔負けなほどにそわそわしていた。ジュニアからは気持ち悪い、フェイスからは変な物でも食べた?と、ディノからは通常運転ラブアンドピースと言われた。ルーキーからの扱いがいささかひどくないか?という言葉はぐっと飲み込んでおく。さらにこの1週間は、さながらブラッドのご機嫌取りでもするかのように非常に真面目に職務に取り込んだ。変なことでオフの時間を侵食されてはかなわないからな。そんなオレにブラッドは、頑張っているなとか、そんな労いの言葉がないどころか、変な物でも食べたか?と。兄弟はこういうところでも似るんだと変に感心してしまった。そんなこんなで、オレはブラッドとのオフを誰にも邪魔されずに過ごすため、あくせく働き、謎に禁酒までしていた。オフの前々日には、ジュニアに本気の心配をされた。それくらい、自覚はあったがいつもと様子が違っていたらしい。
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