「何を作っているんだ?」
後ろから覗き込むように、キースの手元を見る。その手には包丁と、まな板の上には様々な野菜が並べられていた。
久しぶりにあわせたキースとのオフ。いつもはどこかに行くことが多いが、たまにはこんな日があってもいいだろう、と1日何もせずだらだらと過ごした。ちょっと散歩したり、映画を見たり、ただ話していたり。忙しい日々の合間、穏やかな時間を過ごした。そんな時間も終わりに近づく、外の日は傾き、遠い空が紫に色づき始めていた。
「ん~?豚汁でも作ろうと思ってな」
「豚汁か!」
それを聞いて改めて野菜を見れば、大根や人参、ねぎなど、それからみなれないものも。
「それは?」
気になるものを指す。キースは緩やかに、指を指した方向に視線を向けた。
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