渡り廊下は誰かの舞台渡り廊下ではいろんなストーリーが生まれている。
この教室の窓際の席から、食堂へと続く渡り廊下がちょうどよく見える。
そこはただ通りすぎるだけの場所ではないということを、この席に座るようになって初めて知った。
そこは誰かの待ち合わせの場所、誰かの思い出の写真の場所、そして時には誰かの告白の舞台だった。
その場所で何度も女の子から特別な告白を受けている男の子がいた。
同じクラスの時透無一郎君だ。
私はこの一年間、放課後の渡り廊下で時透君が女の子から何か貰ったり言われたりしてる姿を数えきれないほど見てきた。
なんだって渡り廊下なんかを告白の舞台にするのか。なんとなく、「エモいから」という感情だけは私にも理解できる。でも時透君に当たって砕けてみようと思える気持ちだけは全然理解できない。
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