【薫零】プラネタリウム「おや?逆先くんたちのプラネタリウムかえ?」
「うわびっくりした!!」
プラネタリウムの招待券を2枚。頬杖つきながらぴらぴらさせていた薫は突然の声にがたりと椅子を揺らした。
「そ、そんなに驚かずとも……」
同じ番組に一緒に出ていたのだ、少し楽屋に戻るのが遅れたとは言えすぐ戻ってくるのはわかっていたはずなのにどうしてそんなに驚くのかと零の方もたじろぐ。
「あ、い、いや、ちょっと考え事してたから」
「ほう?……さてはデートに誘う相手にでも悩んでいたんじゃな」
帰り支度を始めながらからかうように言う零に、そうだよ!と心の中でだけ叫ぶ。
薫は、零をどうやって誘おうかと悩んでいたのだ。
「凛月くんからチケットもらったんだけど」
「……何?」
途端に表情を変える零に少し気を良くして、薫は持ち直した。
「零くんの言った通りSwitchがお仕事したとこなんだけど、招待券を結構もらったらしくて。青葉くんが弟くんにもくれたんだって」
「何?」
更に表情を険しくした零に薫は思わず吹き出す。つむぎはともかく凛月は確実に、零を誘えという意図を隠しもせずに渡してきた。まぁ明日は二人ともオフだしなんて言い訳しながら受け取ったもののどう切り出したらいいかわからず悶々としていたのだ。
「期限が割と迫ってるんだけど急すぎて誘える女の子がいなくて」
「嬢ちゃんは?」
「仕事だって」
確認もしていないがいつも忙しくしている彼女のこと、まぁ恐らく嘘にはならないだろう。
「それにそもそも最近俺はちゃんと気を付けてるの、すっぱ抜かれたりしないように」
「殊勝な心がけじゃな」
「誰かさんに怒られるからねー。……だから責任取って零くん一緒に行ってくれない?」
「え?」
「明日、零くんも個別の仕事入ってなかったよね?」
プライベートの用事が入ってたら別にいいけどとなんでもないように言いながら、自分の知らない予定が零にあったら嫌だなと浮かんでくる気持ちを押さえつける。
「特に予定は無いが……我輩でいいのかえ?」
「いいから誘ってるんでしょ。弟くんからもらったチケットだし、予定も合うんだし、一番いいと思うけど?」
余裕ぶって笑って、零くんとなら絶対スキャンダルにならないしねと続ければ、自分の言葉に一瞬胸が痛む。
そんな心を笑顔で覆って返事を待てば、なんだか神妙な顔をした零がこくりと頷いた。