その声は、 その声は、光のようだった。
***
その人との出会いは、焼け野原になった故郷と呼んでもいいのか分からないほど荒れ果てた土地の、遺体がゴロンゴロン転がっているような場所だった。
「……ひとり?」
そう尋ねてくる声は無機質で、あまりに冷淡で、さっき頭から被った誰かの血よりも冷たいその声が気持ち悪くて、無視をした。
無視をすれば大抵の奴は何処かへ行くか、殴りかかって来て気が済むまで殴ったら去っていく。そう思っていた。
しかし、何故かその人は殴ることもせずに居座り続けて、あろう事か話しかけ続けてきて、挙句の果てには近づいてきて「僕と一緒に来る?」なんて無機質な声で聞いてきた。
──なに、このひと。
そんな、その人の事が、まったくわからなかった。なんで話しかけてくるのか。なんで一緒に来るなんて言うのか。なんで、左の肩から先がなくて、血がダラダラと流れているのに──痛いはずなのに、それを放ったまま自分なんかに構ってくるのか。
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