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    sakiyoshi3244

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    sakiyoshi3244

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    龍恩ハロうぃんネタ(途中)
    書きかけ。今日はここで寝ます。この後はCPものになる予定

    恩ハロうぃんネタ(途中)木を隠すなら森の中。
    それなら『人を隠すなら雑踏の中』だと、近江連合に追われる春日一番達は、近江の目から避けるためわざと神室町の人が多い時間帯と場所を選んで行動していた。
    近江の監視を潜り抜け、潜伏する日々。そんなことを繰り返すうちに季節は移り変わり、神室町も装いを新たにしていた。

    オレンジ・紫・黒の配色。
    カボチャ・コウモリ・黒猫・蜘蛛のモチーフ。……そして『HALLOWEEN』の文字。
    広告、ディスプレイなどで神室町中の至る所にあるそれらを見た春日一番は首を傾げた。

    「はろー……うぃーん? なんだこりゃ」
    「ハロウィンっすよ、兄貴。しかし、もうそんな時期になってたのか」

    疑問符を浮かべたままの春日を置いたまま、同行していた春日の弟分ミツとスナック『泥棒猫』オーナーの孫の真弓が会話を続ける。

    「そう言えば、10月だもんね。さすがに今回は近江を敵に回した状態じゃ楽しめそうにないけど」
    「そっすよねぇ……。あ、近江にいた頃は組員の若衆が子供に菓子配りしてたんすよ」
    「え……なにそれ、怖い……」

    二人は毎年恒例の行事について盛り上がっているが、話のきっかけをつくった春日は困惑していた。

    「……盛り上がってるとこ悪りぃんだけどよ。その『ハロウィン』って……なんだ?」

    その言葉を聞いて真弓とミツの足がピタリと止まる。

    「えっ、知らないの?」

    ウソでしょ?と春日に向ける真弓の表情がそう語る。ミツも驚愕の顔だ。
    その反応に困ったように春日はガシガシと頭をかいた。

    「知らねぇもんは、知らねぇよ。俺がムショに入るまでは、こんなもんなかったぜ?」

    ミツはスマートフォンを取り出すと、立ち止まって画面を操作し始めた。

    「調べてみると『ハロウィン』が一般的になったのは2000年以降って書いてありますね。兄貴が17年間ムショにいる間に広まったんのか」
    「そっか。そう考えると春日さんのお務め期間って、本当に長かったんだね……」

    真弓がしみじみといったふうに呟く。

    「……まぁな。そのおかげで今も浦島太郎気分を味わってるところだよ。で、教えてくれよ。その『ハロウィン』っていうのは何なんだ?」
    「春日さん。その疑問には俺たちがお答えしますよ」

    本題に入ろうとしたその時、背後から聞こえたのは聞き覚えのある声。
    春日達が振り向けば、『スカイファイナンス』オーナーの秋山と、今は刑事部を離れている警察官の北村が大きな紙袋を下げて立っていた。

    「『ハロウィン』というのはアイルランドが発祥で古代ケルト人の宗教儀式『サウィン祭り』が元となったお祭りです。10月31日に故人の魂と悪霊と魔女がこの世に現れると信じられていて、その日には魔除けの焚き火を焚いたり、仮装をしたんです」

    すらすらと秋山が『ハロウィン』の起源について説明し、北村が少々渋い顔をしつつそれに補足する。

    「仮装をするのは、悪霊の仲間だと思わせる為だとか驚かせて追い払うためだとは言われているが……現在の日本では悪霊に関係なくコスプレをして騒ぐ祭りとなっているな。渋谷などは毎年ひどい有様だ」

    北村は警察官だったためか、ハロウィンにあまりいい思い出がないらしい。

    「へぇ、外国から新しく入ってきた祭りか。ちっとばかし面白そうだな」
    「でしょう? 春日さんも一度体験してみません?」
    「おう! やるやる!!」
    「ちょ、ちょっと待ってくださいよ兄貴! 秋山さん!」

    秋山の提案に乗る春日に、慌てたミツが待ったをかける。

    「今の俺たちは近江連合を敵に回して戦ってるんですよ? こんな時に遊んでる場合ですか!?」

    現在、この神室町は近江連合がほぼ支配下に治めたと言っても変わりない。
    反乱分子の春日達が近江に発見されれば、即座に組員が襲い掛かってくる一触即発の危険地帯なのだ。
    のんきに街で遊べる状態ではない。

    「もちろん、遊ぶだけではないですよ」
    「えぇ?」
    「ねぇ北村さん?」
    「あぁ。祭りに乗じて近江連合の偵察をする。『ハロウィン』の仮装で一般人に紛れ込めるからな」

    北村の説明に、真弓が頷く。

    「そっか。近江が子供にお菓子配ってるって言ってたし、その日は近江の警戒も薄れているかも」
    「た、確かに……」
    「いつもなら真っ先に止めるハズの堅物の北村が何も言わねぇから、なにかあるとは思ったがよ」
    「納得していただけたところで、ハイこれ」

    秋山がミツに手渡したのは、先ほどから持っていた持っていた大きな紙袋。北村も両手に下げていた紙袋を春日と真弓に一つずつ手渡した。

    「仮装の為の衣装です。当日はそれを着てください」
    「すげーな! 秋山、北村。準備万端じゃねぇか」
    「今回の計画を伝えようとしたら、ちょうど春日さんたちが『ハロウィン』の話をしていたんですよ」
    「我々は運ぶのを頼まれただけだ。衣装は辻が用意した。ちなみに今回の企画立案も辻だ」
    「へへっ、あいつもやるな」

    神室町最大の半グレ集団トップの辻隼人。面白いことなら何でもするという彼らしい計画だった。

    「では、10月31日に仮装して劇場前広場に集合ということで」
    「了解!」






    そして、10月31日。『ハロウィン』当日。
    すっかり日も暮れ、人工的な明かりで眩しいばかりに照らされた神室町劇場前広場は、仮装を楽しむ人々や見物客で賑わいを見せていた。
    これから、劇場前通りを抜けて神室町を一周するナイトパレードが開催されるらしい。催し物もあってか本物のモンスターと見まごうばかりの気合の入ったものから、キャラクターのコスプレ、被り物や頭に飾りを着けただけのカジュアルな恰好まで様々な仮装が集まっていた。

    「おぉすっげぇな! それにしても、みんなまだかよ」

    待ち合わせ場所に到着した春日だが仲間の姿が見えない。
    時間を間違えたのかと、時刻を確認しようとスマホを取り出したところで肩を叩かれた。

    「こっちですよ、春日さん」
    「おっ、秋山と真弓か」

    そこにはドラキュラ伯爵の仮装をした秋山と魔女の仮装をした真弓が立っていた。普段と違う恰好のためか、気づかなかったらしい。

    「秋山は、ドラキュラでも『秋山』って感じだな」
    「そこは男前だと言ってくださいよー」

    秋山は、タキシードに身を包み、顔を青白く塗っていた。口からは牙が覗き、唇の端からは血が垂れていてどことなく色気が漂う。色男にぴったりな仮装だった。

    「真弓は……どうしたんだ?」

    魔女の仮装の真弓は小道具の箒を抱えるように持ったまま黙って立っていた。
    うつむいているので、被った帽子で表情がよく見えない。

    「あ、あの。ちょっとこの格好、可愛いすぎない……? スカートも短いし……」

    どうも真弓は、仮装が恥ずかしくて下を向いているようだ。
    確かにシンプルないつもの服と比べると、いま真弓の着ているフリルの付いた黒いワンピースはかなり可愛らしい。
    春日は、キャバクラ・スピカのソフィアも似たような格好していたなぁ。と、ソフィアのメイド服を思い出していた。

    「普段のスポーティーな格好も素敵ですが、今の衣装もお似合いですよ。ねぇ、春日さん」
    「いいんじゃねぇか? その衣装なら貧乳も目立たな……ぐへっ!」
    「一言多い!」

    真弓の持っていた箒がみぞおちにヒットして、春日はその場でうずくまる。

    「ま、真弓……お前なぁ……」

    みぞおちを抉られた痛みで小刻みに震えていると

    「何をやってるんだ、春日……」
    「どうせまた、真弓さんに兄貴が失礼なことを言ったんでしょう」

    北村とミツの声がして春日は顔を上げた。

    「北村……? ミツ!??」

    目に入ってきたのは、包帯でぐるぐる巻きになった眼鏡のミイラ男と頭にネジが刺さったフランケンシュタインの二人。

    「済まないな。準備に手間取った」
    「ミイラは北村か! って、ミツお前大丈夫か!? 頭にネジ刺さってるぞ、あと顔の傷!」

    掴み掛からんばかりの勢いで春日はミツに近寄る。
    慌ててミツは説明する。

    「何ともないっすから、落ち着いてください兄貴! 刺さっていたり、傷のように見えるのは特殊メイクってヤツです!!」
    「メイク? これ化粧なのか……?」
    「兄貴。顔近いですって……」

    ふんふん。と細かく観察するように春日はミツに顔を近づける。

    「すげえなぁ。本物みてぇだ。お前こんなん出来たんだな」
    「メイクしたのは俺だよ。春日サン」

    声と共に肩を引かれ、後ろを振り向けば。
    ……そこには、顔が溶けて片目の眼球がこぼれ落ちそうなゾンビがいた。

    「おわぁぁぁぁっ!?」
    「おっ、いい悲鳴だねー。春日サン」
    「辻くん……だよね?」
    「秋山サン当たり。そうでーす」
    「えっ? お前、辻!?」

    よくよく見れば、辻の服も髪型も普段と同じ。ただ顔が溶け、見えている肌がすべて変色してぼろぼろになっていた。

    「ちょっと本格的すぎない……?」

    真弓は若干引き気味だ。

    「一回、ゾンビやってみたかったんだよねー。なんかぁ、神室町がゾンビだらけになる作品見たことあってさ」
    「あぁ、それね……」

    秋山はなにか心当たりがあるようで、何とも言えない微妙な表情をしていた。

    「俺も特殊メイクが良かったぜ……」
    「えー春日サン、似合ってるし。いいじゃん」
    「うん。さっきから私も言おうと思ってたけど似合ってる。っていうか、可愛い」

    『可愛い』と言われた春日は髪型と服装はいつも通りのもじゃもじゃ頭とワインレッドのスーツだった。
    しかし、もじゃもじゃ頭からはふさふさとした耳が覗き、顔の下半分は動物の口を模した立体的なマスクで覆われ、尻のあたりには立派なしっぽが揺れていた。

    「犬の仮装は春日の気性に合っている。しっかりこの場にも馴染んでいるぞ」
    「……北村さん、兄貴の仮装はたぶん『オオカミ男』っすよ」
    「誰が『犬』だって!? 北村ぁ!!」

    春日が北村に向かって吠えると、それに合わせたかのように頭の獣耳と尻尾がパタパタと動いた。
    秋山が春日の様子を興味深そうに観察しながら、辻の横へと移動する。

    「耳や尻尾が感情に合わせて動いてるみたいに見えるけど、あれどうなっているの? 辻くん」
    「春日サンが着けてるのは『センサーで脳波を読み取って、それに応じた動きになる』ってオモチャ。春日サン感情豊かだからハデに動くね」
    「うーん。春日さんの考えていることまで分かっちゃいそうだなぁ」

    獣耳と尻尾を揺らしながら北村に突っかかる春日は、まるでじゃれつく犬のようだった。

    「ほら兄貴、ここらへんで切り上げないと。近江の偵察に行くんですから」

    どうどうとミツが春日をなだめて、北村から離す。
    苦笑する秋山は、春日の獣耳と尻尾の動きが落ち着いた頃を見計らい、作戦の説明を始めた。

    「近江の偵察は二手に分かれて行動しましょう。一組目は、俺と北村さん辻くん。二組目は、春日さんミツくん真弓ちゃん。場所はスマートフォンに送りましたので確認してください」
    「了解した」
    「わかったわ」
    「オッケー」
    「おい、ミツ。スマホのどこを押せばいいんだこれ?」
    「ここっすよ、兄貴」

    慣れないスマートフォンに四苦八苦する春日。
    近くのミツが画面を覗き込みながら、操作方法を教える。

    「何やら一名、不安があるな……」

    北村が心配そうな声を出す。
    包帯でグルグル巻きにされているので表情は見えないが、先が思いやられる、とでも思っているのだろう。

    「大丈夫っす。兄貴の分は真弓さんと俺がカバーするんで」
    「うん。場所はもう覚えたし春日さんの誘導は任せて」
    「安村サンと真弓ちゃんに任せれば大丈夫だろうけど。春日サンには、はぐれないように首輪とリードも用意しておくべきだったかなぁ」
    「だから、犬扱いするな!!!」

    キャンキャンと吠える春日を見て、秋山は『いつものことだが、大丈夫かなぁ』と困ったように眉を下げた。

    「あははは……。偵察と行っても拠点を外観から確認するくらいで十分です。深入りは禁物、くれぐれも無理はしないでください。この人込みですし、もしはぐれたら『デボラ』で落ち合いましょう」

    秋山の言葉を聞き、各自頷くと二手に別れ行動を開始した。









    神室町の路地を歩く、仮装した男女。その人々にまぎれるようにして春日達は偵察を開始していた。
    フランケンシュタインの姿のミツと魔女の仮装をした真弓が、コソコソと話す。

    「1つ目は、空きテナントになってましたね。2つ目は、近江で見たことがある顔が近くをうろついてましたし、規模的にも近江の拠点で間違いないかと」
    「うん、そうだね。さっき、近江の組員みたいなのとすれ違ったときは、正体がバレるかと思ってドキドキした」
    「パッと見は誰だか分かんないっすからね。こんな中、わざわざ俺らを探そうなんて思わないでしょうし。……あれ、兄貴どうしたんすか?」

    先ほどからずっと春日は、物珍しそうにあたりを見まわしている。

    「コスプレやら化け物の恰好やらが大勢うろついてるだけで、神室町が神室町じゃねぇみたいでよ。なんか変な感じだな。違う町に来ちまったのかと錯覚しちまうぜ」
    「ふふ、ちょっと分かる。普段から変わった恰好の人はたまに見かけるけどね」
    「テレビゲーム……中坊のころ遊んだヤツな、それを思い出してよ。年甲斐もなく浮かれちまってたみてぇだ」
    「もう兄貴、童心に帰るのは用事が済んでからっすよ。偵察は次の場所で終わりですから」
    「おぅ。わかってるよ」
    「春日さん、最後までいい子にしてたらお菓子あげるから」
    「犬の次は子供扱いか……」

    そんなことを言いながら、春日達が次の近江の拠点と思われる場所に近づいてきた辺り。
    賑わいを見せる通りを進んでいくと「きゃあ! やめてください!!」と抵抗する女性の悲鳴らしきものを春日の耳が捉えた。

    「? 今なんか聞こえたか?」
    「春日さんどうしたの?」
    「スマン! 真弓とミツ、お前ら先行っててくれ!」
    「春日さん!そっち目標と逆方向!」

    人込みの中、春日が悲鳴が上がった方向へ走り出す。背後から慌てる真弓とミツの声がする。

    「兄貴、どこいくんすか!」
    「後で合流するからよ! ミツ、真弓のこと頼むぜ!」
    「えぇっ? 春日さん大丈夫!?」

    二人はそのまま人の流れに飲まれ、春日の姿を見失ってしまった。






    春日が声のした方向に駆けよれば、複数の男に囲まれた2人組の仮装をした女性が見えた。

    「せやから、ええ店知っとるから行こうゆうてるやろ」
    「いえ、私たちは結構です……」
    「ああん? そんな格好して男漁りにきたんやろがい!」
    「! 違います!」
    「ええから、黙って付いてこんかい!!」
    「離して!」

    男が傍らの女性の腕を掴むと、別方向から手が伸びてきて女性を掴んだ男の手をねじり上げた。
    そのスキに女性達が絡んでいた男たちから離れて距離をとる。

    「あだだだだだだ!」
    「ア、アニキ!」
    「なんだ、手前ぇは!?」

    女性を取り囲んでいた男たちは突然の乱入者に顔色を変える。

    「見て分かんねぇのかよ。通りすがりのオオカミ男だ」

    男の手をねじり上げたまま、春日はしれっと答える。

    「引っ込んでろ!」
    「引っ込むのはそっちだろ。姉ちゃん達はお前らの相手をするためじゃなくて、祭りを楽しむために神室町に来てんだよ」
    「おどれ、偉そうに! なに説教かましとるんや!」

    痛みに顔をしかめる男が、ようやく春日の手を振り解き

    「おい、お前ら! やっちまえ!!」
    「近江連合に立てついてタダで済むと思うなよ!」
    「おう! キッチリ痛い目見せたるわ!」

    号令をかけて春日に襲い掛かってきた。

    「チッ、やっぱり近江かよ。化け物より厄介だな、お前らは!」
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