半日くらいで書いた現パロ社会人フィ晶♀ たたん、とエンターキーが小気味いい音を立てる。キーボードの左側に積みあがった書類をおもむろに一枚捲り、隅に印字されたページ数の『1』を、晶は思わず二度見した。
「終わっ、た……?」
疲労にかすむ目をこすりながらパソコンのディスプレイに顔を寄せる。劣化して滑りの悪いマウスホイールをころころ動かしながら、細かい数字が羅列する表計算ソフトを上から下までスクロールした。
(数値は全部入ってるし、エラーのセルもないし……)
極めつけに、順に並べて入力が終わったものを一番下へ、と管理していた書類の山の頂点にあるのも最初のページに戻ってきている。
膨大な書類整理とデータ入力をようやく終えたのだと、その事実をようやく頭が理解した。晶は大きく息を吐きながら、デスクチェアに深く背を預ける。
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