その は、全てを語る。「……はい、お兄ちゃん」
「ああ、ありがとう。咲希。」
置かれた牛乳入りのコーヒーが入ったカップを、そっと持ち上げる。
そこに写された自分の表情に思わず苦笑しながら、一口飲んだ。
ある日の、学校もバイトも、ショーの練習もない休日。
自室で何をするか吟味していたところに、ノックの音と咲希の声が飛び込んできた。
「あのね、昨日ほなちゃんからお菓子をもらったの!家族で食べきれないほど多いから、良かったらもらってって。今からコーヒー入れるから、お兄ちゃんもどうかな?」
いいな。すぐ行く。そう言って向かったが、咲希から
「用意はアタシがするから、お兄ちゃんは座ってて!」
なんて言われてしまい。大人しくせざるを得なかった。
オレの分を入れてからほどなくして、自分の分と例のお菓子を持った咲希が戻ってきた。
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