碇くんの恋人 冒頭部分ザクッ ザクッ……
辺り一面の、白銀の世界。
誰も踏み込んだ形跡のない白い大地に、僕の足跡だけが残っていく。
———
高校入試のための上京。
試験自体はなんとか終えることができ、時間もあったので街を散策することにした。
明城学院付属には寮がある。
親戚の家を出てここで寮暮らしをする様子を想像しながら、雪の降る街を歩いた。
この都市には、いつからあるのかもわからない遺跡がある。
学者の研究でもその詳細は解明できていないらしい。
都心からさほど離れていないところに、その遺跡はあった。
地面に刺さっているようにも、地面から生えているようにも見える、十字型の不思議なオブジェ。
何故か心がざわついた。
遺跡を横切り少し歩くと、大きなクレーターのある場所に辿り着いた。
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