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    shinyaemew

    @shinyaemew
    訳あってすけべなのはすべてリス限にしてるが、成人検査しかしてませんのでお気軽にリプやらリス限告知ツイやらでそっと挙手頂ければすっとリスインいたします

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    shinyaemew

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    とても短くて健全なビカダカ!

    ##カイカイ

    三時のおやつ




    「ご馳走様でした」
    「ゴチソウサマデシタ!」

     スピーカーから軽やかな音楽が流れるここはワンダーランドのセカイ、金髪の少年が作り出した摩訶不思議なワールド。ここに最初に生まれた、紺色のコートを身に纏うKAITOは手に持っていた箸を置いては、ポケットからハンカチを取り出し、自分と、うさぎのぬいぐるみの口元を拭う。

    「シミニ、ナラナイ?」
    「大丈夫、綺麗になったよ。確か、リンとレンと練習する約束をしていたね。そろそろ時間じゃないかな?」
    「ホントダ! ボク、イッテクル! オイシイアイス、アリガトウ、KAITO!」

     ぬいぐるみは急いで花壇から飛び降り、KAITOーーもう一人のKAITOーーに礼を言っては小さい歩幅でパタパタ走っていく。

    「はーいどういたしまして〜!」

     にこにこと手を振るKAITOは、白ベースにビビットな赤と青がスタイリッシュにデザインされたTシャツを着ている。

    「二人っきりになったね、KAITO!」
    「っ、にやにやしないで。それより、今日もcrase cafeのアイスの試食をさせてくれてありがとう、美味しかったよ! そっちのMEIKOにも宜しく伝えてくれるかい」

     アイスクリームが入っていたケースは蓋をされて、元の持ち主の手へ戻る。

    「うんうん! ボクもこの味気に入ってるから、そう言ってもらえて嬉しいよ! これなら新作として出しても大丈夫そうだね! あっ」
    「? どうかしたかい… っ!」

     言葉が終わらないうちに、ケースを受け取ったKAITOが立ち上がる。その理由を掴めないまま視野に影を作られ、ようやく理解が追いついたのは、右頬に落とされたちゅっという小さいリップ音が耳に入った頃だった。

    「っ!!」

     時は既に遅し、と言うけれど、それでも反射でキスされた所に思わず手をつけた。
     
    「ついてたよ、アイス」
    「お、しえてくれたら、ハンカチで拭けるから……!!」

     周りにぬいぐるみやミクたち、もしくはセカイの持ち主の子たちがいないかきょろきょろ見回りながら、真っ赤になったKAITOはそのまま手のひらを外に向けては顔を隠した。

    「へへ、折角のチャンスをハンカチに渡したくないから教えなかったんだよね〜 それじゃあボクはストリートに戻るから、また今度ね、KAITO」
    「……っ 今度来る時は事前に連絡して」

     どこからともなくワープ通路を空中に出したKAITOはそれを聞き、入れかけた足を引いた。

    「連絡したら、KAITOの部屋に行かせてくれる?」
    「……そのつもり、だよ」
    「わかった!! 絶対連絡するよ!」

     じゃあね〜! と満面の笑顔で手を振りながら通路に飲まれるKAITOを見送り、「座長」に戻れるよう、頬をぱっぱっと軽く二回叩いた。

    「……ん……まだ熱いかな……」

     生憎、それでも頬の熱は引かなかったので、メインステージに座長が戻るのは、もう数分先のこととなった。
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    いしえ

    PASTしぶから再掲。登場当初のロペスは作中で無欲と扱われていたけれど、実のところ彼にとってみれば、王に仕えたいというその願いが持つ意味がすご~~~~~~~く重かったんだよねぇ!!!!!というのと、それをだれもしらないんだよね!!!っていうのが最高で…無欲そうに見えるロペスが大願を成就させているところ本当に好き…という気持ちを、ロペス一人称文で少しアウトプットしたもの。巨大感情隠した従者のイデアで理想です
    ここに、在るは幸運がため/マルティン・ロペス(アルカサル) 「なんとまあ、欲の無い男だ」。諸侯らが口々に、私を謙虚と褒めそやす。厳しい審判の眼を持つ王さえ、私をそう、賛美なさる。誰もが、ご存じないのだ。その実私が、生涯をおいてもあるいは遠く及び得なかったかもしれぬ大願を、既にこの双肩に得たのだと。十六の少年が、不意の家督において心のささえにしたカスティリア国王、十五で即位したかつての少年ドン・ペドロ王そのひとのお側近く仕えるその至上を、その幸運を! それこそが、私の何よりの強い願望で、悲願で、意欲で、目標だったことを。誰もが、ご存じないのだ。
    「恐れながら――」
     王の取り計らい、即ちサバ読みに応じたのも、お側仕えの夢を快く受け入れてくださった主君への、王のご厚意への、誠意だと思ったからにほかならない。たとえば神がこの方便をとがめたとても、私はそれを、恐るるまい。ドン・ペドロ王そのひとに、そのお心に適うのなら、私は地獄も恐れはしない。
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