未定目を覚ましてから、土方は周りの惨状に己の頭を抱えた。
もう陽は昇り鳥が外で歌っている。振り乱れた髪をかきあげて飛び散った衣服を纏い、隣で未だ鼾をかいている男を後目に刀を携えてその場を去る。
暫くして周囲を偵察しに来ていた竜騎兵と遭遇し、そのまま乗せてもらった土方は、風によろめきそうな身体を叱咤した。
廃棄物達が長を務める北壁が見えてくる。そこは異形のもの達が既に農耕を初め商いを行い、街のようなものも出来た。商店に群がる怪物たちの、その合間を縫っていく黒い糸に、周囲がざわざわと敬礼を取ったりした。
石が積まれた建物の中は、寒いのか暑いのか分からない。ひたすらに長く暗い廊下を進んで自室に向かう。
戸を開けて部屋に入るや否や、ずるずると足から力が抜けていくようだった。酷く体が疲れている。それもそうだ、あの男の相手をしていたのだから。
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