閉ざされた暗い部屋の隅で、遥か遠くの雷鳴に耳を澄ます。誰も居ないこの場所で少年は息を殺してうずくまり、懐には小さな肖像画を抱えている。
扉の向こうが騒がしい。
耳障りな金属音と共に鍵が破壊され、異国の兵が侵入する。それでも尚、彼は身じろぎ一つせず黙って絵を抱き続けた。その少年は自分の首が落とされるまで、唯そうしていた。
-幼き君主の最期-
2021.03
2022.01 本文一部改稿

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