crase cafeでは、メイコの指示のもとレンたちが慌ただしく調理や飾り付けを行っていた。
「……照れるな、『ミクお帰りパーティ』なんて」
その様子を眺めながらカウンターで一杯、照れた様子でコーヒーを飲むのはパーティの主役のミクである。
カフェを押し流す黒い絶望の渦に飲み込まれた彼女だったが、彼女が帰ってこれたのはこはねたちと彼女たちを支えた全員の結果だろう。
「ねえメイコ、やっぱり私も何か手伝うよ」
「いいの、パーティの主役はあなたなんだから」
僅かに腰を浮かしたミクをすぐさま座らせて料理に戻るメイコだが、その表情に浮かぶのは『ミクを主役として立たせたい』だけではないだろう。特に、メイコの戦場である調理場に立たせないのは。
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