毒から出た真ソロモン王をハルマに取られるのは業腹である。
アジトの会議室でテーブルを囲むメギド達の意見は概ね一致していた。少なくとも、ハルマが擁する王都のシバの女王より、別の相手との第一子をソロモン王に作って欲しいと望むメギド達はそう信じていた。
ソロモン王の恋愛事情は、定例会の折に出た雑談の一つだった。
それがあれよあれよと大きくなり、ついには特大級の火種に育った。
定例会とは言え、自由参加型の上、他の用事でアジトに人が多くなる日時の近辺に参加者希望者が多く居たら開くと言う、本当に定例会と呼ぶべきなのか分からない会で、ハルマに好意的かつ穏便なメンバーが偶然参加してなかったのも話が大きくなる後押しをした。
そして、調停者に混沌に吟遊詩人と交渉官と、書記に徹する道化と酒瓶を片手にした大柄な傭兵が、ソロモンにとっては大きなお世話でもある、誰がソロモン王の伴侶に相応しいか論争の口火を、張本人抜きで切っておとしたのである──
14875