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    yanagi_denkiya

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    yanagi_denkiya

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    カップリングなし。
    ふぁにゃとふぇるにゃ。それぞれの飼い主のベリアルとサンダルフォン。

    ふぁにゃの朝は早い4時28分起床。とりあえず飼い主の腹にダイブ。起きない場合には首にどっかりと座り込み顔に両方の前足を置いて少しずつ爪を出していく。半分ぐらい刺さった辺りで大体は起きてくる。与えられた食事をひと舐めして自分の寝床に戻り就寝。
    9時頃になると家主が忙しく動き始める。会社なる場所に行く準備だ。毎日足しげく通っているのだからさぞかし楽しい場所なのだろう。家の猫を放っておいていいご身分だ。家主の食事中はどんなに声を掛けても「ヒトの食べ物は味が濃くて健康に悪いから」だとかもっともらしい理由をつけて少しも分けてくれないので諦めた。知らんぷりをしていると大きな手が頭に乗せられる。まるで機嫌取りのように撫でながら「夜のご飯は美味しいやつにするから」といつもの常套句。どうせ昨日と同じ缶詰だろう。まあアレは旨いが。
    9時45分、家主が家を出るのと同時に抜け出し隣の家に侵入。相変わらず苦臭いにおいが充満している家だ。ずんずんと家の中を進んでいくとリビングに毛づくろいをしている長毛のでかい猫を発見。近づいて背中を舐めると嬉しそうに床に転がったので丁寧に舌で毛並みを整えていく。腹の方を舐めるとまるでお返しだと言うように背中に腕を回され首元を舐められる。くすぐったくてうにゃうにゃと鳴き声を上げると、パタパタと床を叩く音。「また逃がしたのかあいつは」とこちらの家主の呆れ声が聞こえる。俺が来るのだと分かっているのだからその右手に持った苦臭い液体は作らないで欲しい。当たり前のマナーだろうが。
    10時5分、大体の毛づくろいを終えてうとうとしてきた。ルシフェルも大きなあくびをしてブランケットを踏んでいる。覆いかぶさるようにして目を閉じるとルシフェルも同じように寝そべった。カシャカシャと耳障りな音が聞こえるが目を開けるのも億劫なのでそのままにしておく。
    12時24分、ルシフェルが突如として立ち上がった。尻尾をピンと立てて部屋の外へと歩いていく。キッチンの出入り口の近くには綺麗に磨かれた皿と水が無限に湧くボウルが置かれている。ルシフェルはその前に猫らしからぬ姿勢で背をぴんと伸ばして座っていた。当然の顔をして隣に並ぶと、皿が一つ追加されて二つの皿に食事が乗った。ここで出される食事の味は悪くない。だが食べて早々に退散しなければまたあの苦臭いにおいが香って来る。並んで食事を食べる様子を見下ろされ、ここの家主はしげしげと呟いた。「それにしても良く似ているな君らは。もしかして本当に兄弟だったりしないだろうな」そんなふうにズカズカと身の上事情に首を突っ込むのはお前らの世界ではマナー違反にならんのか。ふいと視線を背けると、どことなくバツが悪そうに離れていった。
    13時、ルシフェルが気に入っている籠の中に納まり共に眠る。この時間がたまらなく心地よい。眠り始めて数時間でおやつが差し出されたが今は気分じゃない。ルシフェルがそれを食べるチャムチャムという音を聞きながら深く眠る。
    19時30分。「サンディうちのファーさん来てない!?」玄関が騒がしい。「毎日毎日逃がし過ぎだろう! お前の家の防犯意識はどうなっているんだ!?」「何度も玄関で振り返って付いてきてないか確認してるんだってば!」「事実逃げているだろうが! ここに来ているからいいようなもので、マンションの外に出たらどうするつもりなんだ!」出ないが。勝手に他の生き物の内心を想像して無駄な議論を重ねるとは愚かな事だ。暫く言い争いが続き、ドタドタと急いだ様子の足音に続いて部屋が明るくなった。「じゃあ帰ろうファーさん」抵抗しても無駄なのでそのまま抱えられて隣の家へ戻る。
    19時35分、すっかり眼が冴えた。今日はおやつも食べていないので腹が減った。家主の足元をウロウロしながら催促の鳴き声を上げると極めて幸せそうに、だらしない声で相槌を打たれた。求めているのは「うんうんそうだねファーさんは可愛いね」などといった返答ではないが。
    20時、ようやく食事が出てきた。「今日は手作りのお魚ハンバーグだよ。いつもオレの食べてるやつは危ないからって邪険にしちゃってたけど、これはちゃんと工夫して猫でも食べられる食材だけを使って味付けも――」先にその自信作のハンバーグとやらを皿に置いてから喋って欲しい。何やら暫くべらべら喋っているのを聞き流していると、ようやくそれが皿に置かれた。いつも家主が食べているものとはだいぶ風貌が違う。ふんふんと匂いを確認する。危ない匂いはしない。表面をぺろぺろと舐めて温度と味を確認する。問題なさそうだと分かったので端から歯を立てて少しずつかみちぎっていく。家主は嬉しそうな顔をして、食べ終わるまでずっと俺の様子を眺めていた。
    20時20分、飯のぶんくらいは仕事をしてやろうと家主の寝床を温めてやる。身体をめいっぱい伸ばして温める面積を増やしてやっているこの細やかな気遣いに泣いて感謝すべきだ。だというのに家主はでれでれと鼻の下を伸ばしながらカシャカシャと雑音を立てている。隣の家主といい、この音の鳴るかまぼこ板が好きすぎではないか?
    0時45分、すっかり眠っていた俺の隣に家主が潜り込んでくる気配がする。俺が折角寝床を温めてやっていたのに、それから4時間あまりも無視をしてゴチャゴチャやっていたのだ。その上どうせ明日も会社やらいう場所に遊びに行くのだろう。いい気なものだ。眠くて仕方がなかったが、寝転んだ家主の腹の上にのっしりと寝転がる。すると家主は「ファーさんこんなサービスしてくれちゃってどうしたの。明日は会社行くの止めようかなあ」なんて言いだしたものだから、俺も機嫌よく目を閉じた。
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