第49期生によるエイリアンステージ第49期生によるエイリアンステージ
その初戦はルカのステージだった。
安定した歌唱、優雅なパフォーマンス、完璧なファンサービス
スコアボードがスコアをカウントし始めた時からルカの優勢は揺るがず大差をつけてスコアカウントが止まる。
対戦相手の胸が撃ち抜かれて赤い血が飛び散る。
衣装についたリボンを揺らしてステージ上で一礼をしてから、ルカは待機所の殻の中のヒョナの方を見た。トーナメント表では決勝戦で当たるはずの相手。
ヒョナはルカの方に視線を向けない。じっと敗者の遺骸を見つめている。
こんな時ヒョナはいつもそうだった。ルカを見ないで血を流した子どもの方をみる。
ヒョンウがいなくなってからヒョナはルカのことを見てくれなくなった。
ずっと三人でいたのに、ルカはあれからずっと一人ぼっちになってしまった。何故だか分からなかったが、一人ぼっちでいると心臓の鼓動が弱く遅くなる。とても胸が切なくなる鼓動だった。
切ない胸の疼きは悪くは無かったが、三人でいた時の弾むような胸の鼓動のほうがずっと好ましかった。どうしたらヒョナがルカを見てくれるようになるのかルカは考えていた。
二人きりになればヒョナは自分のことを見てくれるに違いないとルカは考えた。
決勝のステージでならきっと今度こそヒョナは自分を見てくれるはずだ。