警備兵型セゲインが殺傷用銃器を構える。警備兵型セゲインが殺傷用銃器を構える。
スコアが下回ったエイリアン(人間ペット)の急所を狙って発砲をする。
ヒョナの目の前で、アナクトガーデンで共に過ごした友だちが血を噴き出して倒れる。
対戦相手であったルカは動かなくなった友だちを前にしてショックを受けた様子も動じた様子も無く淡々と待機シートに戻っていく。
観客たちは熱狂していた。拍手と歓声が鳴りやまない。大興奮の会場内へとヒョナは視線を巡らせる。
これがエイリアンステージが熱狂的な支持を集める理由。
アナクトガーデンを卒業した人間ペットのアイドルが極端に少ない理由。
そしてエイリアンステージ優勝者が圧倒的王者としてTOPに君臨する理由。
ぼんやりとした思考の点が繋がって線となった。
待機所の殻の中で座っていたヒョナは指先が冷たくなる感触を覚えた。ヒョンウが頭から血を流して倒れているのを見つけた時と同じ感触だ。
こんな思いをするのは自分一人で充分だと思っていたのに、
アナクトガーデンを卒業した子どもたちは全員この思いを抱かされるのだ。
残されるものの悲哀、残していくものの慚愧。
ヒョンウが死んだあとヒョナは偉大なるアナクト様の授業補習を膨大に受けさせられた。ヒョンウはアナクト様のもとで歌うよう召されたのだとても幸せに過ごしていると教え込まれた。
賢いヒョナは「わかりました。先生がた私のために大切な授業をありがとうございました。」と答えたが、腸は煮えくり返っていたしそのくせ頭は恐ろしく冷えて冴えていた。
あの頃の煮えたぎるような感情がヒョナの中に再度点火された。
待機所の殻の中でヒョナは決意する。
エイリアンステージを壊そう。アナクトガーデンを壊そう。この世界を壊そう。