1LDK,0距離希望 普段は仲良くやっている方だ。付き合いたての頃こそ相手が相手だけにこの恋は長くは続かないだろうとトレイは思っていた。それがどうした事か予想は外れに外れて、今となっては同じ屋根の下で同じ物を食べて生活しているのだから恋だとか愛だとかいうものは本当に解らない。
両思いだと解った時は嬉しかったけれどそれ以上に不安の方が大きかった。姿があれば目で追い話が聞こえれば耳を傾けていたトレイはフロイドの気性を知っていたからだ。いつか飽きられる恋なんだろうと、感傷的になって泣いてしまった夜も何度かあった。
少しでも長く一緒にいたくて、トレイは最初の頃彼の機嫌を伺っている事が多かった。人の機微を察するのが得意、とまでは言わないが空気は読める方だと思っている。注意深く観察して、勿論相手に気取らせる事なく、波風立てずにこの恋を一秒でも長く続けていたかったのだ。
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