【SPN】意図せず祈りは届く【C/D】 カスティエルは困っていた。
恩寵は以前より少なくなり、飛ぶこともできなくなったが、ディーンの祈りの声はしっかり届いている。
頻繁に祈る彼ではないが、それでも意図せずディーンの声がカスティエルに届くことがある。そう、たとえばとてもプライベートな場面で。
ディーンが自室でマスターベイションをしている時、カスティエルの名を囁くことがある。掠れる声で懇願するそれは、意図せず祈りとなり脳裏にディーンの喘ぎ声が木霊するのだ。これは、とてもディーンには言えないことだが、カスティエルは何度も下部が反応し興奮を覚えた。それは、大抵、カスティエルがバンカーから離れた時に起こることで、とても歯がゆい思いに駆られる。翼があればすぐにでも飛んでいくだろう。
今は移動中の車内だ。バンカーに戻る途中であり、できるだけ急いで帰路につこうとアクセルを踏む。
そうこうすると、ディーンの切羽詰まった声が届き、カスティエルはハンドルを切り損なう。
「ディーンっ!」
これは拷問だとカスティエルは唸った。乱暴に車を路肩に停めると、自身もまた下部に手を伸ばす羽目となる。