ねこちゃん!「 いっっって!!」
五条悟は肩にはしった鋭い痛みに悲鳴をあげた。反射的に、座っていたラグから腰が浮く。背後を振り向き、犯人をにらみつける。自身の肩をなでるとぬるり、とした感触があり、犯人は噛みついたのだと理解する。そしてその犯人が、ソファにくつろぐ七海建人だということはとっくにわかっていた。なぜなら二人はともに暮らし、二人の家のリビングでくつろいでいたからだ。
「七海くぅ~ん?なんでかんだの~?」
「いえ、特に理由はないですね」
七海はしれっと答え、先ほどまで読んでいた文庫本をテーブルに置いた。
「は?オマエは目の前に人がいたら噛みつくようなシュミしてんの?」
「そんなシュミはないですね」
そういうと七海はおもむろに五条に両手をのばして、瞳をさえぎるサングラスをはずし文庫本の上に置いた。強いて言うなら、と前置きし、
1906