本日はお忙しい中 なぎいさ「ドイツかイギリスどっちがいい?」
突然凪がそう言いながら渡してきたのは、小さな箱。ぱかりと開いたそこには、指輪が二つ。マジか、と言うのが正直な感想。でもじわじわと嬉しさが体を包み込む。
「ふ、普通に日本でもよくね?」
喜びで満ち溢れ緩む頬をそのままに、次はこちらから提案すると凪はそれもそうかと笑った。
そんな会話をしたのが、数ヶ月前。一応それぞれの両親と所属には報告を済ませ、協会にも言っておくかと軽く電話だけを入れた。結婚と言っても同性婚だし、名前が変わるわけではない。だからそんなに大ごとにするつもりは二人ともなく、身近な人や仲の良い友人達だけが知っていればいいだろも思っていた。指輪も、休日に二人で過ごす日ぐらいにしか着けていない。だから誰にも気づかれないと、そう思っていた。だが、それを許してくれない状況になってしまった。
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