ねえさんとおとうと あれはわたしが小3の時。学校から出されたアンケート『家の中のいらないもの』に「弟たち」と書いて提出したら事案になった。
だってアイツらよりいらないものってほかにあるかな?
穴があいた鍋でも鼻をかんだあとのティッシュでも、ヤツらにくらべればまだ使い道があるし、少なくともそこにあっていいと思える、存在を許せるじゃない?
アイツらは人っていうかね動物……じゃなくて虫。そう虫みたいな。一匹いるなあと思うと、大抵その辺りにもう二、三匹いて、退治しても退治しても湧いてまとわりついてくる。
アイツらに関する最初の記憶は、病院でガラス越しに見た赤ん坊たちだった。
入院していた母さんを見舞いに行くたびに、むっつ並んだおんなじ顔を熱心に眺めたっけ。動物園のサルを見る感覚で、ね。
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