弟子は使いよう日付を跨ぐ音が時計から鳴り響き、ふと顔をあげる。本に夢中になっていたら目の前の暖炉の火が消えかかっていた。
呪文を唱えると火花が散り炎が大きくなる。そういえば、まだ双子は帰ってきていない。
『フィガロちゃん、今日はすごいものもって帰るからちゃんと良い子に待ってるんじゃぞ』
『フィガロちゃんびっくりしちゃうかも~!』
もう拾われた時のような子どもではないのに、いまだに二人からは小さな子どもの扱いだ。それに付き合ったわけではないが、医学書を読みふけり時間を忘れていた。
一段と炎が増したのと同時に、馴染んだ魔力の気配がする。
(帰って来た…けど、なんだ、違うものが混ざってる)
鳥肌がたった。背筋が冷たくなるような感覚。すぐに部屋を飛び出して玄関に向かうと吹き荒ぶ吹雪が入り込んできた。
2574