おとなのなやみ『五条さん、また夏油さんが――』
こんな書き出しで伊地知から連絡が来ていた。本当に急ぎの連絡は電話で入れてくるはずなので、命に別条があったわけではない。でもあれだけ僕を面倒に思っている(らしい)伊地知が僕にわざわざ連絡を寄越すということは、僕にしか対応できないということだ。
「あー、今回は駅前のスーパーね」
はいはい、と場所を確認し、運転席に座る補助監督にそこへ向かうよう指示を出した。そこからはたぶん歩いて帰るから先に戻っていいと告げると「高専まではそれなりにありますけど、大丈夫ですか?」と聞き返される。確かに本当に歩けば一時間は余裕でかかる距離だけど、多分帰りは空を飛んで帰るので問題ない。
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