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    karanoito

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    karanoito

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    千尋×始

    RESTAGE─たとえばこんな再会を─

     俺ってロリコンかなぁと千尋は頭を掻いて笑った。
     ロリとはまさか自分の事か? 年の差はあっても身長はほとんど変わらないのに子供扱いとは。それに千尋の方が子供っぽい。心配するだけ徒労だろう。
    「ロリコン、て千尋が?」
    「うん。だって始は学生だろ、やっぱり七つ差は大きいよ。社会人と高校生だもんなあ」
    「その上同性だからな。犯罪率が更に上がる」
    「追い討ちかけんなよー! もう」
    「因みにロリコンとは幼い少女を好きな性癖の事を指すので、正確には違うぞ」
    「じゃあ何て呼ぶんだ?」
    「さあ」
     始のバカーと抱き締めてめそめそ泣き真似をする。
     後ろめたいなら弟の友達に手を出さなければいいのに。
     彼女と別れたタイミングと亡くなった弟の命日がブッキングして落ち込んでいたからと言って、ちょっと話を聞いて慰めてもらっただけで惚れるとか、随分とおめでたい性格だと再会した時に思った。
     この七年、親友だった筈の千隼の墓参りさえ行ってなかった所か、つい最近、彼の死を知ったような気がして。
     小さい頃はずっと一緒にいたのに何故疎通になったのか。
    「始がこの街に帰ってきたの今年だからね、それは仕方ないよ」
     引っ越しをしてまた帰ってきたと千尋は言うが実感が湧かない。自分がいない時の話を後で聞いてるような不明瞭さ。記憶が合わない。
     千隼の事もそうだ。再会してから彼の話をしていてもちぐはぐした何かを常に感じていた。
    「始は好き嫌い多かったよな、いつも千隼に食べてもらってその度に怒られてさ。少しは食べられるようになったか?」
    「あの頃は手が掛かって大変だった……いくら言っても食べないからな」
    「何で上から目線? 自分の話なのにまるで近くで見てたみたいだぞ、それ」
    「……そうだな、何でだろう」
     この言動はおかしかったが、千尋が笑い飛ばして、始も辛いんだよなと勝手に解釈した。辛いのは自分のくせに、目尻に涙が浮かぶのを堪えてる彼が痛々しくつい言ってしまった。
    「堪えるくらいなら泣いたらどうだ」
    「……泣かないよ、俺が泣いたらお前は心配してくれるだろ。年下の子に心配かけられないよ」
    「とか言って泣いてる」
    「泣いてないよ、いつから始はそんなに意地悪になったの」
    「もういいから、泣くな。千尋」
    「泣けって言ったり泣くなって言ったりどっちなんだよーもう」
     泣き笑いの表情になった千尋の頭を撫でながら、こっそり自分の涙を袖で拭った。
     それから間もなくだ。俺、始に惚れちゃったかもなあと冗談めいた口調で告白されたのは。
    「そうか。俺は千尋だったら別に構わないけど」
    「男同士だけどいいの?」
    「……今までと何か変わるのか?」
    「そういうトコ、始らしいなあ」
     応えてから、何となく付き合いが始まったような始まってないような感じで二人でいる。始の方は親友の延長にある友愛程度に考えていたが、千尋はロリコンの心配をするほどには恋情を抱いてるんだろう。
    「つまり、千尋は年の差あって気まずいからもう会わないって思ってる訳か」
    「思う訳ない! 休日しか会えなくて悪いなって思ってるよ。そうそう、今度の休みは連休取れたからどっか出かけよ」
    「分かった、予定空けとく」
    「え、それだけ?」
    「……うれしいって言ってほしいのか?」
     うん、と子供みたいに顔を綻ばせる。どっちが子供なんだか、やっぱりコンプレックスの心配要らないじゃないか、と始も微笑い返した。

    2015.2
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