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    karanoito

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    karanoito

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    カロル&ソフィ TOW3

    親子じゃない関係?

     クエストに出るユーリをカロルが手を振って見送る。それを少し離れた所から見ていたソフィがアスベルの裾を握った。
    「ねぇ、アスベル」
    「何だ? カニタマならまた今度な」
    「ユーリとカロルは、私とアスベルと一緒?」
     一緒と言うのはあの二人は親子なのかと言う意味だ。記憶が無くアスベルに保護してもらい、家族のような間柄になっているソフィには自分と重なって見えたらしい。
    「親子と言うのはちょっとなあ……せめて兄弟じゃないか?」
    「兄弟? でも、ヒューバートみたいに大きくないよ?」
     大きさは関係無いんだよ、とアスベルは困ったように苦笑した。ソフィの頭の周りに「?」が浮かんで回っている。
     どう言えば納得してくれるのか頭を悩ませているとカロルが丁度近くを通りかかった。ソフィの視線に気が付いて立ち止まり、微笑み返す。
    「こんにちは、ソフィも何処か出掛けるの? アスベルと」
     こんにちは、と同じようにソフィも長いツインテールを揺らしながら挨拶を返す。
    「ああ、別にそういう訳じゃないんだ。ちょっと……」
     アスベルが言い終わらない内に、ちょこちょこっとソフィがカロルの前に出て小首を傾げた。
    「あのね、カロルとユーリは親子なの?」
     カロルの目が丸く、大きく見開かれる。アスベルが慌てて嗜めるがソフィはどうして? と不思議そうに見つめ返すばかり。
    「兄弟はよく言われるけど親子って……ボクたちそんな風にみえるんだ?」
    「済まない、ソフィも悪気があって言ってる訳じゃないんだ」
    「うん。分かってるけど、でもどうしてそう思ったの?」
    「私と同じだから。手を繋いで歩いたり、頭を撫でるのは仲の良い親子の証拠だって言ってた」
     ユージーンとマオが二人で歩いている時、マオがニコニコしていてうれしそうだった。仲良しだねと言ったら、あの二人は親子のようなものだからな。と教えてもらった。
     ソフィ自身もアスベルと手を繋いで買い物に出掛けたり、頭を撫でて誉めてもらったりするから、それが親子のスキンシップだと解釈したらしい。
    「ソフィ、マオたちはそれでいいがカロルの方は違うんだ」
    「どう違うの?」
     純粋な子供の疑問にアスベルはどう答えたものか、言葉を詰まらせた。知り合いと言うには親しすぎるし、かと言って家族のように親密でも無いし、説明に困る。
     もう少し放っておくと頭がショートしそうなアスベルを見て、それからソフィに視線を移し、カロルは口を開いた。
    「じゃあ、ボクとユーリの関係(コト)ソフィにだけ教えてあげるね」
     うん、と興味深々に瞳を輝かせるソフィの耳元にカロルが小声で何やら呟く。耳をそば立て頷きながら、ソフィは静かに聴いている。何を話しているのか気になるが、辛抱強く堪えてアスベルは待った。
     秘密の耳打ち事は終わったのか、最後に二人で人差し指を口元に当てて、内緒だよ。と言っている。
    「うん、わかった」
    「じゃあまたね。ソフィ、アスベル」
     カロルは笑顔を見せ、機嫌良くホールから去って行った。
     アスベルには判らないがソフィは納得出来たようでユーリとカロルを見ても親子とは言わなくなった。
     その代わり、頻繁に海の向こうを眺めては少しだけ淋しそうに目を細めるようになった。
    「リチャード元気かな……?」
     そして誰にも聞こえない声で、早く会いたいなと風の向こうに囁いた。

    2011.8
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