「痛っ」
書類を整理していた清澄が小さく呻く。
何やら指を押さえているようだ。
俺は心配になってすぐに清澄のもとに駆けつけた。
「大丈夫!?」
「紙で指を切ってしまいました…」
「ちょっと見せて」
清澄の手を退けて指先を確認する。
右手の人差し指にすっと切れた線が入っていて、じわりと血が滲んでいた。
「俺、絆創膏持ってるから!ちょっとまって!」
ごそごそと鞄を漁る。
これじゃない…これでもない…そうだ、この箱だ!
「はい!これ巻いて!」
一枚の絆創膏を取り出し清澄に手渡す。
清澄は俺のあまりに素早い行動に目を丸くしていたが、すぐに目を細めて微笑んだ。
「ありがとうございます。使わせてもらいますね」
「あら、どうしたのよその指」
打ち合わせ中に目にした九郎ちゃんの指に珍しいものが貼ってあったものだから、つい声を掛けてしまった。
「実は先程、紙で指を切ってしまいまして」
「あらら、それは痛いわね。かわいそうに」
九郎ちゃんが怪我をした指を左手で擦っている。
その時、アタシには見えちゃったのよね。
九郎ちゃんの指の絆創膏に、にこにこ笑顔のマークが書かれてることに。
これはドラゴンちゃんの所有印かしら、なんてね♪
なんとも健気なお付き合いじゃあないか。
若い二人の微笑ましいやりとりに、フフと思わず笑みが溢れた。
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