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    primulayn

    @primulayn

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    primulayn

    DONEりゅうくろ
    ぼんやりとした思考の中、ゆっくりと目を覚ます。枯れた喉がかさついて小さく咳をする。意識を飛ばしていたのだと気づくのに時間はかからなかった。ぴくりと動かした指先で身体を撫でるとさらりとした素肌が指に触れて、後処理も身体を清めるのも、彼が済ませてくれたということがわかった。

    「清澄、だいじょうぶ?」

    隣から心配そうな彼の声が聞こえる。ぱちぱちと瞬きをして徐ろに顔を動かすと、夕焼けの色と目が合った。

    ああ、またやってしまった。

    先程まで二人で熱に浮かされるような情事に身を任せていた。深いところで繋がりたくて、相手のことがもっと欲しくて貪欲に求めあった。どこもかしこも熱くて、どろどろに溶けてしまいそうな夜。木村さんのものが最奥に放たれたとき、視界がちかちかと光って爪先まで快楽が電気信号のようにびりりと走り、気がついた時には果ててしまっていた。そこから先の記憶はない。というか記憶を保てた試しがないのだ。今まで何度もこうして体を重ねてきたが、行為が終わると己の意志に関係なく必ず意識を手放してしまう。本当は甘い言葉を交わしたり荒い息を吐く彼の背中を擦ったり、そういった事後の時間を過ごしてみたかった。しかし、彼と自分とでは圧倒的な体力の差があった。元消防士の彼は性欲も体力も底なしで、一方文化的な活動しかしてこなかった自分とはあまりにも違いすぎる。
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