ふと目が覚めるとよく鍛えられた広い胸筋が視界いっぱいに広がっていた。自分とは違って健康的な色をしている素肌にそっと触れると、引き締まった身体は柔軟性があってどきどきしてしまう。気づいたら腕枕をされていたようで、太くしっかりした腕が私の首裏を支えていた。抱き込まれているため身体は自由に動かないから、自然と彼の顔を見上げるようなかたちになってしまう。大きな夕焼け色の瞳は今は閉じられ、睫毛に縁取られている。きりりとした眉は変わらず、しかしいつも元気に大きな声を発している口は軽く閉じられている。
(木村さん、寝ているのですね)
軽く己の状態を確認する。自分は行為のあと意識を飛ばしてしまったから同じく素肌のままだった。不快感はないことを察するに後片付けは彼がしてくれたのであろう。いつもやらせてばかりで申し訳ないと思いつつ、彼が優しくケアしてくれていることを嬉しく思ってしまう自分もいる。
そっと手を伸ばし、きゅっと身を寄せ抱きついてみる。
とくん、とくんと規則的な心臓の音が静かに耳を伝って流れてくる。優しい音に身を任せていると再び眠ってしまいそうだったので、一旦離れて再度彼の寝顔を眺めることにした。整った、でも少し幼さも感じさせる顔立ちに愛おしさを感じ、思わず触れるだけのキスをした。
(好きです、木村さん……)
恥ずかしくなって再び彼の胸に飛び込んでしまう。
とくん、とくん。
彼の温もりに包まれて、私は再び目を閉じた。
願わくば、朝目が覚めたときも貴方が傍にいますように。