こんな寒い日は「寒い……」
家で独り言を呟かずにいられない程、今日は寒さを感じていた。
床は氷の上を歩いているかのように冷たい。普段はスリッパなどいらないと思っているが、この時ばかりは鍾離の買ってきた鳥の顔がついているふわふわのそれを履いて廊下を歩いた。
荷物を部屋に置き、リビングの暖房を入れる。仙人であった頃は暑さや寒さなど気にしたことはなかったが、凡人の身に寒さはとても堪える。風邪を引くわけにもいかないのでこたつの電源も入れ、しばし身を潜らせて部屋が暖まるのを待った。
今日は鍾離が帰ってくるまでに晩御飯を作らねばならない。何か身体の温まるものが良いかと、今日は鍋を作ることにした。材料さえあればあとは放り込んでおくだけで良く、あまり失敗の少ない料理だ。
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