回転 野田昊からメッセージが届いていることに気づいたのは、大学の昼休みのことだった。
〈週末の予定は?〉
学内のベンチに腰かけてサンドイッチを齧りながら、秦风はその短いメッセージを見つめる。
相手が他の誰かであれば、まず「なぜ?」とその目的を探ろうとしただろう。本を読んだりゲームをしたりして過ごす穏やかな休日を、面倒なことで邪魔をされたくはない。
けれど、野田からの連絡なら、それが何であっても良いなと秦风は思った。抱えている事件についての意見交換だとか、調べものの依頼だとか、あるいはゲームの誘いだとか。そのどれでも秦风は退屈せず、きっと楽しい週末を過ごすことが出来る。
〈何もないよ〉
簡潔にメッセージを返す。期待に胸が弾んでいた。
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