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    おはずかしい

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    ネと、ネが可愛すぎるファがネを猫にして吸ったり吸われたりする話です。
    ネロファウなのかファウネロなのかあやしい…。
    この続きを書いて、5月に本が出るはずです…。

     最近ネロが可愛い。

    「チョコとリンゴだったら、おこちゃまはどっちの方が喜ぶと思う?」
     夕食後に食器を返しにキッチンに立ち入ると、ネロがスコーンの生地をせっせとこねていた。北の魔法使いに勝手に食べられなければ、明日のおやつになる予定らしい。中に何を入れれば子どもが喜ぶかを真剣に考えているのが可愛い。いけない。僕としたことが、年上の自立した男に対して可愛いなどと思ってしまった。

     何度も何度も晩酌を重ねているが、僕は最近はたと気づいた。ネロは可愛い。
     思い返せば最初から可愛いらしさは時おり見え隠れしていた。北の荒々しい気質があると思えば、子犬や猫や子どもを可愛がって存分に甘やかす。褒めればすぐ照れる。叱ると喜ぶ。いつも気怠げなのに、料理には並々ならぬ情熱と自信があって、新作レシピの味の感想を聞くときはいたずらが成功した少年みたいに瞳を輝かせる。
     これが世間でよく言うギャップというものか、そう思った時には遅かった。

     可愛い。最近頭にまとわりついて離れない考えを振り払うように、ネロの手元を見つめる。確か、混ぜすぎない方がいいと言っていたのだったか。さっくり混ぜたあと何度も折りたたんで型で抜く。一晩寝かせてオーブンで焼けば、ふくふく膨らんで横に腹割れし、育ち盛りの子ども達にも食べ応えのあるおやつになるだろう。バターを含んでしっとり湿った生地は、先ほどからネロの少しごつごつした手に翻弄されている。しきりに台の上で丸められ、ぎゅうと押し付けられている生地を見ていると、僕はネロのことをもちもちとこね回したいと思った。台の上で、てのひらでまとめて大きな塊にしてみたり、ちぎって一つ一つを可愛がるように丸めてみたい。指先でつついてみたり、はじっこの方をつまんでみたり。ほんのすこしちぎって食べるのもいい。バターの甘い匂いがする生地は、きっと柔らかくてあまじょっぱくて美味しい。
    「先生?」
     ハッとして顔を上げると、困った顔をしたネロと目が合う。
    「どうした? さっきから黙り込んで」
    「ああ、あ、いや……」
     またやってしまった。ネロのことを考えるのはやめようと思ったはじからネロのことを考えていた。しかも、可愛いと思うだけならまだ良かった。僕はネロをこね回したいだとか口に含んでみたいだなどと、加害性すら帯びた考えに没頭してしまっていた。どうかしているとしか言いようがなく、自分の考えにも関わらず驚き、困惑してしまう。
     気づくと、心臓が早鐘のように打っていた。
    「ちょっと部屋に戻るよ」
     ネロのことをこれ以上見ていると、とんでもないことをしでかしてしまいそうで怖くなった。具体的にどんなことかと考えることすら恐ろしい。ネロが困惑しているので、先ほどの問いには後退りしながら答える。
    「ああ、えーと、今日はチョコの方がいいんじゃないかと思う。この間子ども達が喜んでた」
     雑になってしまって申し訳なかったが、心中かなり穏やかでなく、というか動揺ものすごく、丁寧に返答することはできなかった。くるりと踵を返すと、暗澹たる気持ちを抱えながら早足で立ち去る。
    「ファウスト?」
     後ろから、ネロが心配そうに呼びかけてくれるが、何も答えることはできなかった。

     戻ってきた自室で、乱雑に靴を脱ぐとベッドに横になる。
    「なんてことだ……」
     自分がネロに感じた感情が忌まわしい。こね回したり、口に含んだり。誰かをどうにかしたいなんて、思うこと自体がどうかしているとしか言いようがない。ネロはネロのものであって、僕がどうにかしていいわけがない。
     自然と浮かんできた自分の考えにいきなり殴られたような感覚だった。これまで、こういうことは他者に対して思ったことがない。というか、極力思わないようにしていた。他人をコントロールしようという類の考えは、自縄自縛の苦しみしか生まないものだ。これまでの経験や見たこと聞いたことでよくわかっていたはずなのに。
     誰かに見られているわけではないのに言い訳をするように寝返りを打つ。後ろめたい気持ちが重くのしかかってくるようで息苦しい。なんだってあんなことを思ってしまったのか。今日はぐっすり眠れそうにない。

     ベッドの上でああでもない、こうでもないと懺悔していると、あっという間に時間が経っていた。ただただショックな気持ちと、先が不安な気持ちに苛まれる。このまま、ネロをどうにかしたい気持ちが膨れ上がって、いつか本当にどうにかしてしまったらどうしよう。
     どうしよう。どうしたらいい?
     こんなこと、誰かに相談できるはずもない。うまく説明できないし、快く受け入れられる内容とは思えない。
     はあ、と行き場のない感情を大きなため息に乗せて吐き出す。吐いたため息は周囲の空気に混じって、吸った息でまた僕の肺に戻ってくる。はあ。どうしようもない。
     コンコン。するとその時、タイミングよくドアがノックされた。魔力の気配から、誰がいるのかはドアを開けずともすぐにわかる。何度も晩酌を共にした、今一番顔を合わせたくない彼だ。
    「ファウスト、大丈夫? 具合悪いのに付き合わせちまったなら悪かったよ」
     ネロはドアを勝手に開けなかった。ちなみに、結界が調整してあって、だいたいの時ネロは僕の部屋に勝手に入れる。訪問の予告があって、かつ両手が塞がっている時には勝手に入ってくるから、本人もそれには気付いているのだろうがこういう場面では入ってこない。そんなところも慎み深く、いじらしく、とても可愛い。ああ、僕はまた。
     観念した気持ちでドアを開ける。ドアの隙間からこちらを伺うように覗いてくるネロを見て、笑ってみるが、うまく笑えていない気がする。
    「ありがとう、具合は悪くないんだ」
    「じゃあ、俺、何かしちまった?」
    「いいや。君はいつも通り可愛いよ」
     僕がちょっと投げやりにそう伝えると、ネロは不思議そうに首を傾げた。
    「先生はまたそういうこと言う」
    「ああ、いや……まあ立ち話もなんだから」
     そう言って部屋に迎え入れると、ネロはすこし緊張した顔をしていた。僕の部屋なんて何度入ったかわからないのに、そんなところも可愛い。
    「で?」
    「ええと……」
     向かい合って座り、ネロが気遣わしげにこちらの様子を伺ってくるが、ものすごく気まずい。なんと言ったらいいのかわからない。油断をするとおまえを煮たり焼いたりして食べてしまいそうな自分が怖い、だと? そんなこと、言えるはずもない。
    「何から話したらいいか……」
     別にネロが悪いわけではない。というか、悪いのはどう考えても僕の方だ。だから、正直に事情を話すべきなのだろうが、話されて困ることというのもある。この優しい男を困らせたいわけではない。いかんともしがたい空気をどうにかしようと考えてみるも、何も思いつかない。気持ちが焦れば焦るほど、膨らんでくるものがある。ネロをどうにかしたい。ぎゅーっとつぶれるくらいその手首を握ってみたい。もちろんネロはスコーン生地ではないからつぶれたりはしないのだが。僕は額に手を当てて、真顔を保ちながら必死に考えた。とにかくこの場は適当に誤魔化したい。ああ、そうだ。猫好きの僕には最適な逃げ口上があるではないか。
    「ちょっと猫になってみてくれないか?」
    「は?」
    「ちょっとだけでいい」
    「はあ?」
    「それで、撫でさせて欲しい」
     僕が必死に震えを抑え、低い声で絞り出すと、ネロは納得したといわんばかりに表情を明るくして笑った。
    「なんだ。先生は猫のこと考えてたのか。そういうことだったら別にいいけど」
     惜しい。一文字違う。実際は猫ではなくネロのことである。
     《サティルクナート・ムルクリード》
     ボロが出る前に誤魔化そう。僕は強引にネロを猫に変化させると、ベッドに腰掛けて膝の上に乗せた。最初は優しく撫でていたが、膝の上に柔らかくてふわふわな彼がいると思うともうどうにも我慢ができなくなってくる。僕はちょっと強引に、伏せていたネロをひっくり返した。
    「わっ!」
     可愛らしい叫び声が上がるが、無視してふかふかの毛並みの腹に顔を埋め思い切り吸った。息を肺の奥底から吸いこみ、ゆっくり吐く。毛のなかで温まったぬるい空気。何度もスーハースーハーと夢中で吸い込んでしまう。ネロにかけた変身魔法は、見た目を変えるだけで本質的に猫になるものではない。獣くさくなったりはせず、匂いだって気配だって、本人の意識だってネロのままだ。ネロの匂いや魔力の気配を鼻先からダイレクトに嗅ぐことになる。すると、なんとなく興奮が収まるものがあった。
     猫を吸うだけならそれほど加害性はないといって良いのではないだろうか。ネロの同意があったかどうかは微妙だが、自分で守れる最善のラインだったと思う。多分。
     顔を上げて、ほう、と息を吐く。不安な気持ちや、どうにかしてやりたいという衝動はかなり落ち着いた。指を鳴らして魔法を解くと、ネロはびっくりした顔で固まっていた。
    「勢いすごくね?」
    「最近変なんだよ」
    「変?」
    「そういう日がある」
     それが精一杯できる白状だった。何も言わないのはフェアじゃない。などと、全部を言うこともできないくせにそう思う。恥ずかしくなってずれたメガネを直すと、「なるほどね……」とネロはなんともいえない顔をしていた。
    「落ち着いた?」
    「うん、かなり。ありがとう。すごく助かった」
     僕が言うと、誤魔化されてはいないのだろうが、ネロは頷いた。
    「またなんかあったら言ってよ。猫になるくらいでよければしてやるからさ」
     そして、とびきり可愛い力の抜けた顔で微笑んた。

     ***

     キュートアグレッションというものがある。動物の赤ちゃんなどを見たときに攻撃したくなる反応のことで、対象があまりに可愛すぎるが故に、脳が溢れた感情を調整する機能だと考えられている。
     だが、ネロは成人男性である。確かに見た目は整っているが、特に可愛くはない。丸くも小さくもないし、赤ちゃんらしさもない。
     だが、ファウストがネロに対してキュートアグレッションを感じている。それは生まれて初めて甘くて柔らかくてのっぴきならない強い感情を抱いているからなのであるが、本人はそれをまだ知るよしもない。


     ***


     それから、ファウストはしばしば俺を猫に変身させて愛でるようになった。晩酌の時だとか、子ども達に目撃されないタイミングの中庭だとかで。さすがに年長二人がふにゃふにゃになっているところを子ども達に見せるのは恥ずかしい。とはいえ、ファウストが中庭などで猫に遭遇し、撫でたり吸ったりするのはこれまで普通に行われていたことであるから、慎むのもおかしかろうという理屈だ。

     今日は中庭の噴水のへり。柔らかく風が吹きいい天気なので子ども達は街にでかけている。太陽の光に包まれながら、おやつどきに膝の上で丸まったネロをファウストがよしよしと慣れた手つきで撫でる。ちなみに、若者達には隠せても、勘の鋭い年長者達にはバレバレである。だがいやらしいことをしているわけではない。そのうち終わる、よくある遊びであるとしてほとんどの者は何の反応も示さなかったが、皆が皆不干渉というわけでもなかった。
    「ファウスト、ちょっといい?」
     さらさらと流れる噴水の水音を背に、フィガロが声をかけてきた。
    「何の用だ」
     それまでのほほんと膝の上のネロを撫でていたファウストは警戒するように少し身を丸める。
    「大した話じゃないけど。ネロのことさ」
     ネロのことを持ち出されると、ファウストも聞かないわけにはいかなかった。
    「昼寝しているから静かに」
     フィガロはそっと微笑むと、白衣の裾をさばいて噴水のへりに腰を下ろす。
    「ネロとは最近どうなの?」
    「どうとは」
    「うまくいってるの?」
    「ああ? うまくいってるよ」
    「それは良かった。きみに大事な人ができて俺も嬉しいと思ってるんだよ」
    「大事……? それはどうも」
     ファウストは何か恐ろしいことが起こるとでも思っているのか、警戒心丸出しで恐る恐る返答している。フィガロは小さい声ではあるがいつも通りだった。
    「それでさ……」
     そして、本題を切り出した。
    「ちゃんと我慢してるのは偉いよね。慎み深い君たちらしい」
    「……我慢?」
     フィガロはファウストの方に体を傾け、口元に手をやってひそひそ話の姿勢である。
    「……まだしてないでしょ。あ、しなくても、かわいいふたりは満足なのかな? 今どきだよね。でもさ、君は必要なくてもネロは満足してるのかな。あの子は優しいけど、激しい部分もあるじゃない。言わないだけでしたいと思ってるかもよ。出かけたり家に帰ったり、機会があったら聞いてみたら? そこの認識のずれでうまくいかなくなるのはものすごくよくある話だから。俺は君の日々に安らげるものになることを願ってる」
     とうとうと語る。ふたりの関係をかき混ぜにきたのか、年長者ならではのお節介なのか、判別がつきづらいのがフィガロらしい。
    「するとかしないとか、何の話をしてる?」
     そしてファウストは心底困った顔をした。ファウストとフィガロは会話が全く噛み合っておらず、間の抜けた雰囲気ばかりが流れる。
    「……え?」
     たっぷりためた後、フィガロも首をかしげて困惑した。そして聡明な頭脳を働かせる。フィガロにこんな風に頭を使わせるのはこの世界でファウストと何人かの魔法舎の若者くらいだろう。
    「二人は恋人とか、恋人に近い関係なんじゃないの?」
    「こ……そうなるのか……?」
    「違う?」
    「……晩酌はよくやってるが酒を飲むだけだし、こうやって時たま撫でさせてもらってるだけだが……」
    「そうなの…!?」
     フィガロは珍しく目を見開いて驚いていた。
    「そうだ」
    「ほんとに!?」
    「そうだが……」
     困惑するファウストをよそに、フィガロは笑い出した。
    「ふふ、ほんとのほんとに? なら何も言うことはないよ」
     ファウストはフィガロに言われたことに動揺し、苦い顔をしている。
    「子ども達の教育に悪いから、粘膜が接触するような行為をするなら部屋の中でね」
    「はあ!?」
     そんなことしないが!? そう叫ぶファウストの声をかわし、フィガロはスキップをするように軽い足取りで立ち去っていった。

    「……とのことだが」
     二人が行ってしまったあと、不機嫌そうな声でファウストが俺に呼びかける。
    「はあ……」
    「途中から起きていたんだろう。何か言ってくれても良かったのに」
     まあほぼ最初から起きていた。だが、フィガロの相手はファウストの担当ということにしておきたい。ファウストにとっては師匠であり気安い相手だろうが、俺にとっては恐ろしい北の大魔法使いである。
    「それは悪かったよ」
     ファウストが指を鳴らそうと手首を持ち上げたのを、いつもより短い右手で止める。そして手のひらに頭を擦りつけると、俺の言いたいことが伝わったらしく、ファウストはため息をつきながらも背筋をなぞるように優しく背中を撫でてくれた。ファウストは本当に猫あしらいが上手い。気持ちよくて、勝手に喉がごろごろ鳴ってしまう。ファウストになでられていると、心底ゆったりした気持ちになるのだ。撫でてもらっていると他の馴染みの猫がやってきたので、ファウストはもう片方の手で馴染みの猫も撫でる。
    「僕たちは恋人同士に見えるのか?」
    「人によると思う。フィガロは人間関係に敏感だからそう思うんだろ」
    「君は誰かに何か言われたりしてないのか」
     そう言われると、俺もこの間ブラッドに揶揄われた。どういうプレイなんだよ、と。プレイじゃなく貴重な昼寝時間なのだと言っておいたが。
    「いいや、別に」
     そろそろ俺ばかりがファウストの膝の上を独占するのも悪いだろうと思い、変身を解いて膝の上をかわってやった。隣に座ると視線が高くなったので、困った表情を浮かべるファウストの顔を覗き込んでみる。別に気にしなくていいのに。というのが、俺の正直なところだった。
    「気を回してくれたフィガロには悪いけど」
    「気を回したのか? あれは」
     多分そうだ。いつまでも弟子が恋人と子どもっぽい付き合いを続けているから、破局を迎えないようアドバイスをしてきたのだろう。弟子想いだが余計なお世話である。
    「たぶんな。でもさ。俺はこうするの、結構気に入ってるんだよ」
    「本当か? 僕のお願いに付き合ってるだけじゃないか」
    「いいや。最初は合わせてるとこもあったけど、今はそうじゃない」
     最初は、単なる猫役だと思っていた。ファウストは猫がいいのだと。ところが、ファウストは他の懐いている猫が寄ってきても俺を横に置くことはなかった。
     猫になった俺は、料理も作れないし、魔法も使えないし、たまにマフラーに爪がひっかかってのっぴきならない事態に陥るし、風で飛びそうになった帽子を押さえてやることもできない。ただ大人しく膝の上でなでられているだけだ。俺はそこにいるだけで可愛がられるなんて初めてで、最初のうちはそわそわと落ち着かず、状況が理解できなかった。けれど、少し時間がたって、今ではちょっぴり嬉しく感じている。そのままの俺でいいと言われているみたいだから。照れくさいから言わないけれど。
     もちろん料理を作るのは好きだ。ファウストだけでなく、皆に美味しいと言って食べてもらえれば嬉しい。忙しいのだって余計なことを考えずに済む部分もあるから苦痛じゃない。けれど、そんな忙しない日々の合間に、中庭の暖かい陽だまりで二人ひなたぼっこするのは、もうすっかり俺にとって心地いい至福の時間となっていた。なでる手つきは優しく、柔らかい慈しみを感じる。
    「すげえ安らぐっていうか、あんたは優しいし、ぽかぽかして気持ちいいっていうか……まあ……とにかくさ、俺も結構楽しんでるんだよ。だから、さっき言われたことは気にすんなよ」
     なんだか、言わなくていいことまで口にしてしまいそうで恥ずかしい。つっかえつっかえしながら素直な気持ちを口にすると、ファウストは口元を手で覆っていた。
    「ネロ……」
    「なに?」
    「いや……」
     うっとファウストが呻く。途端、俺はまた猫に変えられ、仰向けにされて腹を吸われていた。
    「発作?」
    「すまない」
     申し訳なさそうな声を出しつつも、ファウストは俺の胴体の毛に含まれた空気を一心不乱にすうはあと吸っている。
     時折、吸いたくてたまらなくなるのだそうだ。基本的に真面目なファウストが、俺の腹に必死で顔をうずめるのを見ているとなんだか可愛く思えてくるから不思議だ。
     というか。
     吸うファウストはもちろん、からかってくるファウストも、俺の料理を食べて美味しいと言ってくれるファウストも可愛い。あんまり見ていると熱心なファンになりそうだ。可愛いと本人に言うと機嫌を悪くしそうなので黙っているが、黙っているくらいでちょうどいい。

     というわけで、以上が俺たちのなでなでタイムの全貌である。
     俺はファウストとのこの時間にとても満足し、癒されている。それがはたから見て、多少不思議な関係だったとしても。
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