Xmas to you. ぱたん、とドアが閉まった瞬間だった。
「……」
「まき、くん?」
部屋の中から伝わってくる、一日中人がいなかったことを証明するようなひんやりとした空気。それとは違う種類の冷たさをまとった空気が背後からふわりと包むように揺れる。鼻先に届く、槙くんの匂い。
包むように回された手は私のお腹の前で重なっていて、とりあえずその手に触れてみる。さっきまでつないでいた手は、内側はあんなにも温かかったのに甲はそうでもない。
「楽しかったな」
お昼前から待ち合わせて、デートして。たくさん話して、買い物をしたり、美味しいものを食べたり。
笑って、とぼけて、つっこんで、拗ねたふりをして。心もお腹も両手もいっぱいになった。
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