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    パープル

    @purpleR1627(犬王以外も色々呟いてる)
    ポイピクは犬王のみ(健全)

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    パープル

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    竜中将ネタ、またですw(長すぎてツイッタ載せるの諦めた)
    前は「犬王の色」でしたが今回は「赤い竜」です。平家の亡霊が集まって赤い竜と成り舞い成仏したのが良かったのと、比叡座たちと友有座たちと一緒だったので舞台へ上がる前に打ち合わせでわちゃわちゃしたらいいなと思い長くなってしまいました。犬王と友有以外の人達の言葉遣いが無いので想像です。

    #犬王
    dogKing

    赤い竜犬王と比叡座達と友有と友有座達が皆が集まりウーンと捻っている。
    「問題は竜をどう表現するか、だな」
    犬王が確認して言う。皆はコクリとする。比叡座の裏方が何枚かの絵を指す。
    「前回は地上の広いところでしたから何とかなりましたけれども…ここの水の上ではどうしても場が限られています」
    友有座の大きな琵琶を弾いた人が手を上げる。
    「それってどのぐらいなんすか?」
    「うーん、ここの部屋より広いぐらいです」
    ここの部屋は友有座が作った稽古部屋。友有座は見えないため物は最低限しか置かれておらずガランとしている。
    「じゃあ犬王が水の上で舞うなら、そこにするとかは?」
    「あの池は最低限しか床に置けないです。全部置かないと重さで壊れて落ちます」
    「俺の太鼓何個分なんだ?」
    友有座の太鼓の人が聞く。
    「前回より大きく作ろうと思っているので20個ぐらいでしょうか…」
    「そりゃ薄い板は壊れるな」
    「竜はどうしても外せないっすか?」
    「竜中将というのだから外せん。舞台の中なら大丈夫だが高くないし狭いし観客からは見えづらいだろう」
    カリカリと頭を掻く犬王。
    「ああ、見えないことは意味無いことだからな」
    「友有さん、見えることが重要なんすか?」
    琵琶の弦を調整する友有が答える。
    「そうしないと平家の亡霊は納得しないだろうしな」
    「亡霊っすか…」
    犬王と友有以外の比叡座達と友有座達は前から2人に聞いていたが聞こえないし見えないので信じ難い。だが舞うことで犬王が普通へ変わって─いや戻ったのを身近で見てきて感じたのだから最後まで見届けたいと思い疑心は置いといたのだ。
    「その平家の亡霊って何か知恵をくれないですか?」
    「無い。出来事を伝えるのみしか出来ないのだ。ずっと竜中将を呟いておる」
    犬王と友有が見えている平家の亡霊たちはふよふよと漂いながら『竜宮の果てに…』『身投げた先に』『安らぎを求めて─』と繰り返している。
    「じゃあ俺たちが邪魔ならないよう隅っこで場所を作るとかはどうっすか?」
    「それだと音が合わなくなる」
    「では鯨と同じように影で作るとかはどうですか?」
    「作るのと調整するのと練習する時間が足りないぞ。将軍が決めた日付までが短い」
    その言葉で皆ともに重いため息を吐く。将軍が決めた日付までが短いからだ。
    今まではじっくりと流れを練って今までにない道具を試行錯誤で作り納得するまで調整し続けるほど長く要した。だからこそ今までにない斬新を人々に魅了されたのだ。
    それをすっ飛ばさないと間に合わないほど。池に薄い板を固定するだけでもギリギリだという。
    「将軍に延期お願いって無理っすかね?」
    「馬鹿っ!首跳ねられっぞ!」
    大きい琵琶の人がダメ元で言うと太鼓の人が肩にパァンといい音を出した。
    「いって言ってみただけっつうの!」
    仕返しに腹をパンッと叩きいい音が響く。そのきっかけで大きい琵琶の人と太鼓の人がギャイギャイし始めた。
    「まあまあ、落ち着いてください…」
    比叡座たちがオロオロするが棟梁である友有は止めない。それどころかいつも通りで進める。
    「俺は見えんからなんとも言えないが犬王は下見したんだろう?聞かせてくれ」
    「おう、描いたのを触ってみろ」
    犬王も気にせず友有の手を取り、描いた紙を触らせる。
    そんな様子で犬王を慕う比叡座たちはポカンしていた。
    「(これが自由な友有座なのか…)」
    静かな比叡座たちとワイワイする友有座の温度差が違っていた。
    「……なるほど、池に囲まれた二段建てか。繋がる橋のみか…フッ、将軍らしい優雅な所だ」
    「それでな、二階は一階より狭いが竜が入れるだろう。俺の舞が終わったら二階に降ろして友有たちは入れ替わりに二階で唄うのはどうだ?裏方は外側から池の光を灯すから何人かは割けるだろう。前回の竜を目立つ色に塗っておけば見栄えるだろう。竜を回り泳がせ最後に橋を渡り退場させて一斉に光を照らし──面を取る」
    友有は完全に想像ができていた。しかし平家の亡霊が満足できなかったら醜い顔を将軍に晒してしまう。どうなるのかは誰でも分かっていた。
    手紙を受け取り父の裏を知っていた犬王は「まあ、それでもよし」と腹をとっとくに決めており恐れなどは無かった。産まれてから家族どころか人間全てから悪意を受け続け過ごしたゆえに慣れていた。
    それを感じたのか皆が一瞬にしんとなる。何故か平家の亡霊たちもしんみりなった。
    「おいおい、死ぬとは決まった訳では無いぞ。いざとなりゃ友有と皆と逃げるのもいいな。もしくは将軍を食らうか?新しい伝説なるかもしれんし平家の亡霊も満足するじゃないかな!」
    ワッハッハッハ!と盛り上げようとするが友有は睨みつける。
    「…面白くなかったか?」
    「畜生の方がマシだな」
    「おいおい」
    すくっと立ち上がる友有。
    釣られるように犬王も立ち上がる。他の人たちは何かあったら止めようと片足だけ上げる。
    「俺は!!友有だ!犬王の友に有るのだ!!それを差し置いて行くのか!犬王ッ」
    「俺は犬王だ!俺だけの犬王だ!だがお前といるからこそ犬王だ!置いて行くとは言っていないぞ!!」
    大声で怒鳴るが2人とも唄い踊る。
    これを見た周りの人達は「あ、これ大丈夫だ」と片足を降ろして見守ることにした。
    ギャーギャーと唄いめちゃくちゃな踊り合いする犬王と友有。知らない人からしたら奇怪に見えるだろう。これは喧嘩しながらにも確認し合っているのだ。
    「だから犬王はー」
    「だから友有はー」
    「そもそもは!」
    「そもそもだ!」
    すると平家の亡霊たちが言い合いする2人に集まり密となる。この行動に2人がピタリと止まる。
    「なんだ?」
    「どうした?」
    すると平家の亡霊たちがザワザワして身震いをしてきた。
    「ア、ア…ワラ…ガ」「ラ、りゆ…ュ…」「ナ、る…」
    語りしか喋れなかったのがぎこちながらにも意思で話しかけてきた。
    「「喋った」」
    見えなく聞こえない人達はハテナを浮べ傾げていた。
    「ま、満…ゾく…シタラ」「りゅ、ウ…な、ル…」「ナレ、そ…う…」「さい、ゴの…語り…リ、竜中、将…」「俺、タチ…もオドる…」
    平家の亡霊たちがバラバラに喋るが2人は聞き逃さず言葉を繋げていく。
    「えっ…でも俺たち以外は見えないだろ…?」
    「どうやってだ?」
    「ソノ…日付ケ…」「ニッ日食…」「日ガ…」「クラ…クなる…」「水島ノ、戦イ…」「か勝っタ…」「水…ハ…竜…」
    「「!!!」」
    思わず犬王と友有は片手でパァン!!と叩きあった。
    「「それだ!!」」
    「満足しないとな!」
    「満足すればいい!」
    「えっと、誰に…?」
    その一言でニヤッとする2人。
    「「最初から平家の亡霊だ!!」」
    「えっ??」
    「そうすれば平家の亡霊が竜と成る!!」
    「皆に新しい平家の物語最後を見せてやるとな!」
    キャキャッする2人に傾げる人達は全て理解できなかったが一つだけ分かった。
    「つまり…その日は間に合うってことですね(っすね)!?」
    「「ああ!!」」
    その言葉で皆が立ち上がり歓声を上げた。平家の亡霊たちも激しくうねうねする。

    さあ──最後の舞台だ。
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