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    so_fte7

    @so_fte7

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    so_fte7

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    年齢操作ミザカイ
    成人祝いでお酒奢ってくれる兄さん

    ミザ(20)兄さん(23)あたり

    「好きなものを選ぶと良い。何、今日はお前のための日だからな」

    ここには何度か来ているから、帰りは心配するなと付けたしながら慣れた手つきでジャケットを脱ぎ、カウンターへと座るカイトを見て、ああ、頭では理解していてもこうして見るとやはり此奴は年上なのだと認めざるを得ない。
    ささやかなむず痒さと、少しだけ、届かない焦立ちがミザエルの背を煽る。
    しかし今日はカイトの言うように、私が成人したからと祝いの酒の場を用意してくれたのだ。幾らカイトが私財を有しているとはいえ、時間は有限である。
    こうして気遣って、2人の夜を用意してくれたのだから無碍にすることなど無いのだ。
     顔見知りなのだろう。バーテンダーの男と言葉を軽く交わし、ミザエルが酒が初めてであることを快く了承したと思えば、小洒落た黒いレザーに包まれた長方形のメニュー表をカウンターへと差し出した。

     では、ごゆっくり、と会釈し直ぐに切り替える様は流石というべきか。何もかも初めて体感するものに、ミザエルはキャパシティが既に超えそうで、やや面倒ささえも覚え始めていたが、こんなことを口にしたらいくらなんでも子供ではないか。カイトにも恥をかかせてしまう。それだけは避けなければならない!
     意地にも似た心持ちでそれを開いてみれば、広がるのは色鮮やかな世界。
     あらゆる色彩の魔法とでもいうような、その液体が、大人が嗜むものなのか。カイトは普段どのようなものを呑むのかさえも、聞いたことがなかった。聞いたところで此奴が素直に話すのかも分からぬが。
     そしてその中で、ふと見慣れた色を見つけ、バーテンダーとやらに「なら、これを」とミザエルが指し示せば、恭しく彼は返しシェイカーやグラスを取り出した。一体何を使いどうするのかさえもわからぬが、覚えると夜を楽しむことが増えるのだろうか。カイトとならば、それも良いかもしれないと。
     
     カイトは呑み慣れたシングルグラスを頼み、そしてミザエルの前に差し出されたそれを共に見る。 ここには色とりどりのカクテルなどがあり、若者にも人気の店なのだ。感性豊かな彼にも少しはいいかもしれないとの上で来たが、出てきたカクテルはどこか見覚えのある青だった。
     かつてお互いを繋いだ銀河眼のような、淡くも眩さもあり、そして爽やかな青。きっとミザエルのことだから、タキオンのことを思いそのドラゴンのような紫色を選ぶと思っていたカイトは意外そうに眼をやれば、感嘆の声を漏らしつつグラスを持ち上げたミザエルは店内の照明にそのカクテルを翳す。
     僅かに眼を細めたのちに、突然カイトの方へ向き、そのグラスを互いの視界に入るように傾ける。乾杯だろうかとカイトがグラスを持ちかけた刹那、ミザエルが柔らかく笑んだ。

    「カイト、お前の眼に似ているな」  

     天城カイト23歳。これ程までに動揺した体験など、過去にあったか覚えていない。
     それほどまでに誰かに揺るがされるなど無かったから、これが何故かの原因かわからず、思いがけぬ不意打ちについ言葉が詰まり、うめく様な息しか出なかった。
     何だ。ミザエルは恐らく単純に、彼は純真だからこそ本当に素直にそう思って裏などなく選んだのだろう。だからこそタチが悪いのだ。せめてこれが揶揄いの目的があったとかなら、悪態を吐けたのだが。  
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    so_fte7

    PROGRESSSF風銀河眼組の進捗と尻叩き用

    ヌメロンコード後
    『月面から帰還したはずの天城カイトのDNAが一致しないSF風if世界線』

    ※ミザカイ・カイミザどちらも含みます
    ※宇宙についてなど諸々は素人の知識故に、
     間違い等などあると思いますがご了承ください
    ・プロット段階なので随時加筆修正有
    ・そのうち本に出来たらいいな~~~
    【ミザカイミザ】タイトル未定人は願いを語るとき、誰に受け取ってほしいのだろうか。

    さしずめそれは、ため息の如く自然と出てしまった泥にも似て、もしくは、恋焦がれた末の灰なのかもしれない。それを知るのは、いつになろうか。

    月の輪郭に、オレは抱かれていた。嫋やかに、冷たく、寂しい。

    孤独ではない気はした。だがそれを保証するものは、誰一人として居ない。
     眼を覚まさなければ───漠然とした、朝起きるように自然と夢の微睡の中で掴む意識のように、手を、どうにか。

    天城カイトは、そうしたかった。
     だが、彼の腕は上がらない。まるで己の体ではないような、鋼鉄の檻に魂が詰め込まれたかのように。指を象る感覚も、腕を持ち上げようとする筋肉の軋む熱も無い。
    ましてや、己が今見ている瞼の裏は、果てない闇の先なのか、それとも遠い遠い記憶の先なのか。
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