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    【蒼まど】ドライビングシアター
    たまにはドライバー設定を出したくなるのです(2020/11/15)

    ##蒼まど

    ガチガチ、と音を立ててサイドブレーキを引く。次いでキーを回せば、そこは移動手段から密室へと姿を替えた。
    シートベルトを外し、シートを後ろへ倒し運転ではまずしない姿勢になる。
    ふう、と一息をつきながら前を見ると、フロントガラスの向こう側に何台かの車と白いスクリーンが見えていた。
    「こうしてみると、不思議な光景だね」
    映画館よりも少し遠い隣からまどかさんの声が聴こえる。
    ドライビングシアターの催しは、彼女が見つけてきたものだった。せっかく予定もないしと車を走らせること1時間。海沿いにある商業施設の駐車場の一画に作られたスペースにあるそこは俺たちの後ろにも続々と車が着きはじめていた。
    「ねえ、まどかさん」
    「ひゃっ! なに?どうしたの?」
    映画館ではできないことをする。触れた頬が熱を持っていた。こちらへ顔を向けてきた彼女へ、素直な気持ちを打ち明ける。
    「ちょっと遠いな、って」
    「それはそうだよ。ここは家じゃないもん」
    「そうだね。ごめん、困らせるつもりはなかったんだけど」
    夕闇と海とで普段にない色合いに照らされた彼女が、ただ綺麗で見つめてしまう。
    「蒼星くん?」
    「映画までの間だけ」
    「……うん」
    前髪をまとめたピンが煌めくのを目の端にいれながら、もう一度頬に触れる。心なしか染まったそこからは、先程よりも高い熱が染みだしていた。

    正直、今から観る映画の内容が頭に入るかは自信がなくなっていた。
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