Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    のくたの諸々倉庫

    推しカプはいいぞ。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 57

    なるほどそういう地獄もあるか/鍾タル

    ※ないです。
    こんな感じで始まる先生×ショタタルあったら嬉しいなって。死ネタなどご注意ください。

    #鍾タル
    zhongchi

    雨が降っていた。
    「どうせこの命を終えたところで、お前と同じところには行けまい」
     少しばかり、血を流しすぎただろうか。腕の中の痩身は既に、体温を失って微動だにしない。
    「……後悔はない、が……あっけないものだな、公子殿」
     世界が回る。彼を抱えたまま倒れ込み、雨によって流れ、薄められていく血溜まりを見た。
     もはやどちらの血だったかすら分からない。ああ、これが──末路か。
     俺はなかなか悪くない人生だったよ、なんて。わざわざ俺と比べずとも、あまりにも短命な彼の笑顔を思い出した。
    「……お前と生きる未来が、欲しかった」
     今となっては叶わないが、と閉じていく視界の中思った。ようやく死ねる、と思う心よりもそちらの未練の方が大きいのだから、俺も案外単純なものだ。
     ……ああでも互いに、それなりに殺しをした。となれば次に会うのが地獄である可能性も、まだ、どこかに──


    「おはよう先生、今日もいい天気だよ」
    「……ッ!?」
     目を開ける。耳慣れたものよりも少し高い声と共に、全開にされたカーテンから朝日が差し込んできた。
    「……公子殿?」
    「ん、誰それ? ていうか汗びっしょりだよ先生、なんか変な夢でも見てたでしょ」
     そうして呆然とする俺の前にいたのは、確かにタルタリヤその人であった。
     ……しかし俺の記憶に間違いがなければ、公子殿はもう少し背が高く……目に光などなかったはずなのだが。
    「……お前を抱えて、死ぬ夢を見た」
     言えばまだ、声変わりも済んでいなさそうな──けれど甲斐甲斐しく俺の世話を焼く、その少年はけらけら笑う。
    「先生疲れてるんじゃない? また原稿上げた途端に倒れたもんね」
    「念のため訊くが、お前は俺の息子か……?」
    「そんなわけないじゃん、俺は先生のコイビトなんでしょ?」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤👍😍😍🙏🙏☺💖💖☺☺
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    のくたの諸々倉庫

    DONE世界5分前仮説/共生鍾タルのネタをお借りしました。「ねえ、先生。今いるこの世界が5分前にできたものだ、っていう仮説、知ってる?」
     言われて少し考え込んだ。問われた言葉の意味が分からない、というより──その問いから後、彼が何を言いたいのかがよく分からない。
    「聞いたことはある。この世界は5分前につくられたものであり、今俺たちが持っている記憶などは全て、創造主による捏造なのだ、という話だろう」
    「そうそう。もしそうだったらすごいなと思ってさ、だって世界は広いんだよ? あちこちで矛盾が出ないように、それでいて複雑に絡み合った『設定』の上……俺たちは今、こうやって息をしてる」
     言いながら、彼の指が伸びた。首の輪をついと撫ぜ、岩元素のマークを通り、その服の下、彼を生かす力の核へと。そうして「ね、不思議でしょ」なんて。
    「先生は6000年の時を生きたカミサマでさ、俺はそんな先生と一緒に生きてる元人間。そんな設定のもと、たった5分前に俺たちがこの地に足をつけたっていうなら……こんなにおかしなことはないなって」
    「どうして、おかしいんだ」
    「俺はね先生、生かしてくれたことに感謝してる。ずっと一緒に生きられるなら、他の何と別れることになってもいい、 1323

    のくたの諸々倉庫

    DONEなるほどそういう地獄もあるか/鍾タル

    ※ないです。
    こんな感じで始まる先生×ショタタルあったら嬉しいなって。死ネタなどご注意ください。
    雨が降っていた。
    「どうせこの命を終えたところで、お前と同じところには行けまい」
     少しばかり、血を流しすぎただろうか。腕の中の痩身は既に、体温を失って微動だにしない。
    「……後悔はない、が……あっけないものだな、公子殿」
     世界が回る。彼を抱えたまま倒れ込み、雨によって流れ、薄められていく血溜まりを見た。
     もはやどちらの血だったかすら分からない。ああ、これが──末路か。
     俺はなかなか悪くない人生だったよ、なんて。わざわざ俺と比べずとも、あまりにも短命な彼の笑顔を思い出した。
    「……お前と生きる未来が、欲しかった」
     今となっては叶わないが、と閉じていく視界の中思った。ようやく死ねる、と思う心よりもそちらの未練の方が大きいのだから、俺も案外単純なものだ。
     ……ああでも互いに、それなりに殺しをした。となれば次に会うのが地獄である可能性も、まだ、どこかに──


    「おはよう先生、今日もいい天気だよ」
    「……ッ!?」
     目を開ける。耳慣れたものよりも少し高い声と共に、全開にされたカーテンから朝日が差し込んできた。
    「……公子殿?」
    「ん、誰それ? ていうか汗びっしょりだよ先生、なんか変 752