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    kky_89

    @torey98_

    @kky_89

    トリイ・ガク。パスワードは勘でといてほしい。

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    kky_89

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    「ありたとう」と君に言われるとなんだか切ない。
    さようならの後も解けぬ魔法 淡くほろ苦い

    限りある時間を君と過ごしたい

    the flavor of life

    「頼りにしている」と言われると安心する。
     求められていることがわかっているから、呆れた顔をしながらポケットに突っ込んだ金をとりだせばよい。
    「任せたよ」といわれると心強くなる。
     私の一方的な恋慕でないと証明されたようで、合点承知と彼れかれの意図を先回りできる。
    「きれいだよ」といわれるとどうしようもなくもどかしい。
     彼れの花のかんばせ桜貝色の唇で紡がれる冗句が本心であればあるほどどうしてよいのかわからない。惚れなおしたかと問えば、全くその通りだと虹がかかるように笑うし、お前に言われても説得力がないと返すと、比べるものではないと雲がかかる。
    「きれいだよ」「かわいらしいよ」「うつくしい」と彼れが澄んだまなざしで眩しそうに瞬くと、私はたびたび遠い過去に忘却した過去の奇襲にあう。
    「おまえのような醜い児は見たことがない」と声も思い出せない声が鼓動の内にこだまする。
     否、と私は胸を撫でる。私は生まれ変わったのだ。もうすっかり生まれ変わってしなやかな四肢と健やかな心を手に入れた。幻聴はどこまでも幻聴で彼れの言葉こそが正しい。
     その証に、ほっそりとしたスラックスもトレンチコートも量産品の手袋も難なく着こなせる。
     それをみて「似合っている、かっこいい」とたしかな審美眼を持つ彼れがいう。私はもう肉の醜さとは分離したのだ。彼れのいう言葉ひとつひとつに戸惑って心理を暴かずとも、ありがとう、と受け取ってしまっていい。
    「きれいだよ」といわれると未だに戸惑う。
     彼の白磁の頬に流れるような黒髪にまろびる本心を、ありがとう、などと冗句で流してよいのかわからない。皮一枚骨ひとつの美醜は装えても、魂元の美醜は繕えない。
     財と地位は彼れ達かれらを守るに必要な力で、私はいまだこのおそましくもなりうつくしくもなる剣と盾を手放すつもりはない。彼れは、龍は、守られたくなどないのかもしれないが、君といると心強い、と生き生きと笑った。
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    kky_89

    TRAININGRKRN 夢小説 文×夢♂
    夢主=同級生設定 セリフあり 名前・容姿無し
    オリジナル同級生でもいいような気もしたけどそれなら夢小説と言い張る。
    文次郎に困り眉させたい。困り眉させるだけさせて自分は自分の道をゆきたい。

    学園に対する現状の解釈。
    https://wavebox.me/wave/1hk5yfe9ttwwns9q/ ←いいたいことはここに投げると吉
    「きみ」が早期卒業するまでの47時間【一寸の光陰】

    郷里の便りを受け取ってからの君の行動は素早かった。
    便りを見たのは梅の去り桜の至らぬこの季節に最後の斜陽が射す時分だったが、読み終えるやすぐさま内容を学園長に知らせ承諾を得ると、長く伸ばしていた髪を大人らしく切り揃えた。
    翌日、図書室の本と学校の備品はすべて返し、小綺麗な私物を髪と一緒に売り払った。僅かでも急ぎ金が必要になったとはいえ、まともに値がついたのが選りすぐりの品々よりも仙蔵への対抗意識だけで手入れをした髪だったことにどこかさみしく感じた。世は無情だ。
    量は減ったがそれでも、5年間集めたガラクタを広げると一人になったばかりの部屋がいっぱいになった。
    こういう光景はなにも珍しいことではない。3年生から4年生に進級するときには同級生の半分以上が就職、といっても家業に戻った、が決まって学園を去り、その形見物を君も受け取ってきた。先月も同室相手の私物をほとんど丸ごと受け取った。もうすこし長くいるつもりだったが思いのほかことが早く進んだ。それだけのことだ。
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