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    teelse9

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    teelse9

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    ☆山と🎤

    「おれも──ふらの高校に行こうと思います」
     小田が色々なものを振り絞って、それはそれは長い熟考の末、松山にそう打ち明けたのはジュニアユースの大会後のことだったように思う。
     二人はふらの高校へ進学した。松山とまたサッカーができることは、とても楽しかった。ふらの中学校のメンバーで一緒に進学したのは数人で、ふらの高校サッカー部は小田たちが小学生から積み上げてきた思い出とは、似ても似つかなかったかもしれないが、それでも楽しかった。
     小田は中学生の頃より続けて、フォワードを務めていた。そして、松山はジュニアユースでのコンバートを機に、ディフェンダーとして戦うようになっていた。攻めの小田、守りの松山。チームとしての輪郭は悪くなかった。
     けれど、どうしてだろう。
     時折松山は、遠くを見る。

    ***

     夏のインターハイ、ふらの高校は全国大会まで順調に駒を進めた。
     そして、東邦学園との一戦を迎える。
    「日向」
    「……松山」
     ジュニアユースぶりに顔を合わせた二人は、それだけしか言葉を交わさなかった。
     小田はそれを背後から見ていて、松山の表情はわからなかった。
     ──試合は、終始東邦学園が押し込む展開になった。
     当然と言えば当然だろう。高校受験もなく、エスカレーター式に中学のメンバーがそのまま残った東邦学園は、恐らく今、日本一の実力とチームワークを有している。一方、ふらの高校はまだ粗削りだ。受験勉強によるブランクも抜けきらない。
     結局日向に点を取られ、前半終了のホイッスルが鳴ったときには、スコアは二対零だった。
     笛が鳴り終わり、両チームが一旦控室に戻ろうというときだ。小田が松山を見れば、彼は普段たまにそうしているように、遠くを見る目つきをしていた。
     小田はなんとはなしに、その視線の先を追った。
     すると、いつもは何もないはずのそこに──猛虎がいた。
    「……っ」
     じゃあ、もしかしてこの人はずっと。
     小田は、嫌な想像をしてしまい、慌てて首を左右に振った。それから松山に声をかける。
    「お疲れ様です、松山さん」
     松山は振り向いた。その視線はもう遠くを見ておらず、小田をしっかりと捉えた。
    「ああ。前半は散々だったな」
    「流石は東邦学園、って感じですね」
    「そうだな……なんとかして、取り返したいが」
     そう言われて、小田は先ほどの松山の視線を思い出してしまう。この人は、もしかしたら、あの猛虎のようなエースストライカーをいつも頭に思い描いているのではないだろうか。
     その期待に、応えることができるだろうか。少しでも、あの虎の尻尾を掴めるか。
     自問自答しても答えは出ない。でも、きっとやるしかないのだ。後半、点を取りに行くのは小田の仕事なのだから。

     そして、後半が始まった。
    「小田! 頼む!」
     ディフェンスを統率する松山からのパス。受け取った時、妙な緊張が小田の体を巡った。いや、違う。大丈夫だ。いける。点を、取るんだ。
    「小田! こっち!」
     チームメイトが呼んでいる。けれど、今は一人で行きたい。それが松山の求めるエースストライカー像ならば。
     パスを回すだろうと予想していた東邦ディフェンダーのあては外れた。その予想を外したことに関して、小田の戦術戦略はなかったとしてもだ。そのおかげで小田は不慣れな中央突破をすることができた。
     だが、心は落ち着かず、焦りが全身にめぐっていた。もう少し。シュートの射程にまで、入らなければ。嫌な汗がにじむ。
     その瞬間だった。
    「好き勝手してんじゃねえ!」
     ひときわ耳に残る大声が聞こえてきて、咄嗟に躱そうとしたのも間に合わず。小田の足ごと刈り取るような、強烈なタックルが炸裂した。
    「っ──⁉」
     わけもわからず、小田はタックルの主を見た。そこにいたのは、日向だった。
     執念を形にしたような。
     燃え盛る闘志を煮詰めたような。
     一瞬、目が合った。しかしそれも一瞬だった。ボールを持った日向とすれ違った時、ようやく小田は、彼が抜かれたディフェンダーたちをフォローするためにこんなところまで戻ってきたのだと理解した。
     小田は振り返った。日向は既に、ふらのの陣地にまで走りこんでいる。その姿は、小田とは似ても似つかない。小田のやった正面突破なんかとはまるで違う。誰もがそれを予想しているのに、誰もそれを止められない。削られようが、お構いなくゴールへ殺到する猛虎。
     こんな奴が、松山の視線の先にいるのか。
     小田はやるせなく、棒立ちになってその姿を見つめていた。穴のあくほど、見つめた。
     だってそうだろう。小田がこの人に勝っているところなんて一つもない。松山の視線はこれからもこの男に向けられ続ける。小田ではなく。
    「そこをどけ、松山!」
    「──日向!」
     小田の見ている先で、二人の一騎打ちが始まった。
     あまりにも熱を持ったその戦いを、小田は見ていることしかできなかった。
     今まで、フォワードをやってきた。それは正直、本意であったかというと自信がない。小学生の頃は、ミッドフィルダーとフォワードを兼任していた。中学生になって、他の人との兼ね合いで、センターフォワードに定着した。成り行きだったのかもしれない。ジュニアユースでは、フォワードとして参加したが、選考からは漏れた。
     それでも、あったはずなのだ。ふらののセンターフォワードとしての矜持は。そしてそれは、今、完膚なきまでに砕かれた。
    「……」
     熱が彼らに吸い取られていくような、そんな幻想を抱いた。

    ***

     ふらの高校と東邦学園の試合は、東邦学園の完勝で幕を閉じた。
     ほかのチームメイトは、その日限りで北海道へとんぼ返りするようだったが、小田と松山は他校の偵察をして帰ることになっていた。それで、チームメイトを見送った夜、小田は松山の宿泊する部屋を訪れた。
    「小田、大丈夫か? 顔が暗いぞ」
     松山は、小田を見るなりそう声をかけてきた。
     きっと彼は、試合のことで落ち込んでいると思っているだろう。しかし、小田が暗い顔になっている理由はそんなことではなかった。
    「松山さん。少し、話したいことがあるんです」
     改まってそう告げると、松山は軽く頷いた。
    「わかった。とりあえず、入れよ」
     それで、小田は部屋の中に入った。
    「それで……話って?」
     松山がそう促す。小田は──ゆっくりと、口を開いた。
    「おれ……、ミッドフィルダーになろうかと思うんです」
    「……え? いきなり、どうして」
     動揺する松山に対し、小田は静かに、続けた。
    「だって、おれは松山さんが望むようなストライカーには、なれないですから」
    「……おれの、望む?」
    「松山さんが本当に望んでいるのは、日向でしょう。あの人をずっと、目で追って。……ううん、会っていないときも、貴方は日向の影をずっと、追ってる。おれには、その期待は重すぎます。今日、日向と戦って、よくわかった」
    「いや、そんな、おれは……」
    「否定するんですか。でも、松山さんは、ずっと日向を見ているでしょう」
    「……」
    「おれはあなたにとって、『日向ではないストライカー』だ。ごめんなさい。そうなりたかったわけではないんだけど。でも、そういう扱いに耐えられるほど、おれは人間ができていないんです」
    「そんなことない、おれは、おまえをそんな目で見たつもりは」
    「ないですか。そうですよね。松山さんは、おれを見ていないですから」
     そう返せば松山は、少しの間黙りこくっていた。それから、がしがしと頭を掻いて口を開いた。
    「わかった。おまえのポジションは、おまえが決めるべきだ。おれが何を言っても無駄なようだし……な。だけど、本当にそれでいいのか、もう少しだけ考えてみてくれ。そうだな、このインターハイが終わるまで」
     無駄なことだ、と小田は思った。もう心の中で答えは出ていた。ストライカーとしてわずかにあった矜持はどこかへ消えてしまった。ストライカーでいる意味など、ないというのに。
     それでも小田が頷いたのは、それが松山の頼みだったからに他ならない。結局小田は彼の言葉を無碍にすることはできなかったのだ。

     次の日も、東邦の試合があった。偵察名目で残っている以上、小田と松山がそれを見に行くのは必然である。この日本中で一番強い、東邦学園と言うチーム。彼らに勝つための糸口を掴むことこそ二人の命題といっても過言ではない。
    「小田! こっちだ! 横並びで空いてるぜ」
    「はい!」
     松山にいざなわれるままに、小田は観客席に腰掛けた。
    「いやあ、あっついなー。小田、おまえも熱中症ならないよう気をつけろよ」
    「試合してないですし、大丈夫ですって」
     昨日の今日で松山とぎこちない会話をしてしまうのではないかという小田の危惧は裏切られ、松山は今日も元気に応対してくれたし、小田もそれにつられて楽しむことができていた。買っておいたスポーツドリンクの缶を開け、小田はグラウンドに目を落とす。それに倣って、松山も視線をそちらへ向けたようだ。
    「今日の相手は国見か。次藤のところだな」
    「……おれ、よく知らないんですけど、どんな人なんですか?」
    「あー、結構喧嘩っ早いやつで、でも頼りになるディフェンダーだよ。そっちのほうも、ちゃんと見ておかなくちゃな」
    「ふうん……、喧嘩っ早いっていうと、小学生の頃の松山さんも相当ですけど、それ以上ってことですか?」
    「おい馬鹿! それを蒸し返すなよ!」
    「あはは」
     慌てた松山に思わず小田は吹き出した。
     そう言っている間にも、試合が始まった。国見の次藤は、遠目に見てもわかりやすいほどの巨漢だ。そして東邦学園もそうそうたる面子を揃える。中学からのチームメイト、反町や若島津の姿も見つけることができた。
     だが、小田の目はいつの間にか、日向にだけ吸い寄せられた。
     一回り大きな次藤とも互角に張り合い、彼のマンマークを正面から打ち破ろうとする姿は、フォワードというよりは、エースという言葉がふさわしい。無謀で愚直に見えるそれが、しかし、小田にはたどり着けぬ境地であることはもうわかっていた。だからだろうか。とにかく、その猛虎が美しく見えて──。
    「……小田! 今の見たか⁉ 反町もやっぱりすげえな……東邦のストライカーだけある」
     ──松山の言葉で、小田は我に返った。
     そして、焦る。なにせ今、小田は日向のことしか見ていなかったのだ。はて何があったのだろうと、その先の試合展開から予想する。東邦のセットプレイになっているということは、反町のシュートが紙一重で弾かれたということだろうか。
    「えっと。……確かに、反町は、すごいですよね。日向の影に隠れがちだけど」
     当たり障りのないことを言うと、松山は特に不審がる様子もなく頷いた。どうやら誤魔化せたようだ。
    「ああ。やっぱり東邦は、チームとして完成されてる。次藤も最高峰のディフェンダーだが、これじゃ手を焼くだろう。今は佐野もいないしな……」
    「佐野って、中学の時に次藤とコンビを組んでた……」
    「そうそう、そいつ。年下だからな、まだ中学生だ。とはいえ、東邦もタケシはいねえはずなんだけど、それを感じさせないほど日向が働いてるよな」
    「そうですね。……なんていうか。かっこいいです」
     その言葉に、松山は吹き出した。
    「おいおい、お前の口から、日向がかっこいいなんて聞くとは思わなかったぜ」
    「あっ、えっと、これは」
    「いや、わかるよ。誰だってあの背中には、焦がれちまうんだ」
    「……キャプテンもですか?」
    「おれか? おれは……うーん、どうかな」
     松山は曖昧に笑った。
     けれど、小田はなんとなく察していた。彼も、ジュニアユースで日向と共に戦ううち、その背中に惹かれた人の一人なのだろう。だからこそ、彼はずっとエースストライカー・日向小次郎の幻影を追い求めている。
     思えば松山がよく遠くを見るようになったのは、ジュニアユースが終わってからだった。味方となった日向小次郎のカリスマは、きっと凄まじいものに違いない。
     小田は試合に視線を戻した。
     ああ、追いつこうにも追いつけない、腹立たしいほどに苛烈な虎がそこにいる。

    ***

     試合は東邦学園が勝利を収めた。それを見終えた後、小田は松山に断って、ぶらぶらとその辺を歩いてから宿泊施設へ帰ることにした。東邦学園の勝利に感銘を受けたらしい観客たちが、今日の試合の感想を言いながら歩いていく。
    『だけど、本当にそれでいいのか、もう少しだけ考えてみてくれ。そうだな、このインターハイが終わるまで』
     一日前、ポジションを変えたいと言った時の松山の言葉を反芻する。
     そしてもう一度、歩きながら考えてはみたものの、やはり考えは変わりそうもない。松山が求めるエースストライカーに自分はなれない。
     そう、あそこでコーラを買って、自販機のアタリが出てめちゃくちゃ戸惑っている、東邦学園エースストライカー、日向小次郎のようには……。
     ……ん?
    「うわ、日向⁉」
     小田はびっくりして思わず後ずさった。なにせいきなり目の前に日向がいたのである。けたたましくアタリを告げる音声が鳴る自販機の前で、彼は途方に暮れている。アタリが出たらもう一本、と言うが、今の日向には余計であったようだ。その彼が、小田を見て表情を明るくした。
    「……お前は、小田⁉ おい、何か飲みたいものねえか⁉」
    「えっ、あっ、じゃあ、えっと」
    「コーラを奢ってやる」
    「固定かよ!」
     というわけで、何故か小田は日向にコーラを貰うことになってしまった。
     がしゃんと音がして、アタリ分のコーラが出てくる。それを日向から手渡され、なんだかなあと思いながらも有難く受け取る。
     すると日向が隣のベンチに腰掛けて飲み始めてしまったので、どうにも小田も、ここで飲んでいかなければいけない気がして、その隣に腰掛けた。
    「今日は、どうした?」
    「え?」
    「おれたちの偵察か?」
     特に隠すことでもないので、小田は頷いた。
    「そうだよ。決勝進出おめでとう」
    「ふん。当然だ」
    「東邦は流石だな。チームワークもばっちりだし。ふらのも試行錯誤してるけど、中々、上手くいかないや」
    「見た感じ、悪いわけではねえけどな。フォワードのおまえと、ディフェンダーの松山──、ちゃんと連携も取れてるし。まあ、おれたちには及ばねえが」
     フォワードのおまえ、という言葉が小田の胸に引っかかった。ぎゅっとコーラの缶を握りしめ、小田は、思わず言葉を吐き出した。
    「おれ、フォワードやめるよ」
    「ん……?」
     きょとんとした日向を見ると、僅かにいらだちが募ってきた。そうだ、こいつのせいだ。こいつさえ松山光の前に現れなければ。そんな恨み節を小田は飲み込み、苦笑してみせた。
    「松山さんの理想は、おまえなんだ、日向。おれは期待に応えられないし……松山さんの期待が、重すぎる。だから、やめようと思って」
    「へえ……松山が?」
     日向は一度、眉をひそめた。それから、少しコーラを飲んで続ける。
    「それ、松山の口から直接聞いたのか?」
     小田は首を左右に振った。
    「松山さんは、否定してた。でも、わかるんだ。松山さん、最近よく遠くを見るし、それに……試合の時、おまえのことをずっと気にしてた」
    「それで、松山が考える理想のフォワードがおれだって思ったわけね。……でも」
     日向は、少し考えるようにして──それから、こう言った。
    「あいつは、そんなこと、思ってねえと思うぜ」
    「……なんで、日向にそんなことがわかるんだよ」
    「ジュニアユースの時、あいつはおれになろうとした」
    「へっ?」
    「おれを見て、超攻撃的なミッドフィルダーのスタイルを身に着けようとしていたんだ。それをふらので使わない理由までは知らねえ。ただ、あいつはそれを誰かに求めようとしたんじゃなくて、自分の中に取り込もうとしていたように見えたぜ」
    「……」
    「だから、おまえはおまえで、いいんだよ、小田。松山は別に、フォワードの理想としておれを追ってるわけじゃねえ」
     思わぬ言葉に、しばらく小田はフリーズした。
     確かに、彼は一言も言葉にはしなかったけれど、それは小田に気を遣っているだけだと思っていた。違ったのか。あの人は日向のスタイルを自分で活かそうとしていただけで。
     ああ、でも。それでも、小田の心は晴れなかった。
     コーラを口に含むと、炭酸がはじけてわずかに痛む。
    「でも、でもダメなんだ! おれは日向と自分を比較しちゃう! 無理だよ。どんなに努力しても日向のようにはなれないし──それでも、松山さんの視線の先におまえがいるってだけで、意識せざるをえないんだ!」
     できなかった中央突破を思い出す。そして、見送った猛虎の背中。ああ、畜生。なんでその猛虎本人に対して、こんなふうに感情を吐露してしまっているのだろう。
     すると、日向は一つ、唸って。
    「おまえ、それさ。おれのことを理想のフォワードだと思ってんのは、松山じゃなくて、おまえじゃねえの?」
     そう、告げた。
     えっ、と思う間もなく、彼は立ち上がり、飲み終えたコーラをごみ箱に捨てると、「んじゃ、そろそろバスの時間があるから」とかなんとか言って立ち去ってしまう。
     残された小田は、日向の言葉を反芻した。
     日向を理想のフォワードだと思っているのは、松山じゃなくて、自分。
     その言葉を五回くらい頭の中で繰り返して──小田は、ようやく理解した。
    「あ──そっか」
     松山が、日向を意識しているのだと気づいたときに、小田も日向を意識するようになって。あの後姿を、剛直な中央突破を目で追ってしまって。偵察の時も、ずっと日向のことばかり見ていて。鮮烈に残るあのエース然とした姿が、どうしても忘れられなくて。
     なんだ、日向の言うとおりじゃないか。
    「っ、はは……」
     ため息と共に変な笑いがこぼれてきた。
    「おれは、自分で自分を追い詰めてただけだったのか……」

    ***

    「松山さん」
     インターハイの終わり。飛行機に乗って北海道へ帰るとき、隣に座った松山に、小田は話しかけた。
    「ん?」
    「こないだ話していたポジションのこと。覚えてます?」
    「ああ、もちろん。で、どうだった? まだ、気は変わらないか?」
     小田は頷いた。
    「ええ。おれ、ミッドフィルダーになろうと思います」
    「そうか……」
     松山は少し残念そうにしていた。そんな彼を見て、小田は、続けた。
    「でも、松山さんが、エースストライカーとして日向を求めているから……っていう理由じゃなくなりました」
     その言葉には、少し松山は驚きをあらわにした。
    「えっ? そうなのか」
    「はい。そうじゃなかったんです。結局限界を感じていたのも、日向を理想だと思ってたのも、おれ自身で。だからこそ、おれは、もう一度自分のスタイルを見つけるために、ミッドフィルダーになろうと、そう思ってます」
     そう正直に告白すると、松山はまだ少し驚いたようにしながらも──やがて、にっこりと笑ってくれた。
    「そうか。それなら、応援するよ。来年こそは、ふらの高校で東邦学園にリベンジしような」
    「はい!」
     そうして二人は、慣れ親しんだふらのの地へと戻っていった。
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