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    acco

    kmt垢。時々、なにか書きます。🔥さん推し。書くのは煉炭。読むのは地雷なし。なんでも読みます。

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    #煉炭
    refinedCarbon
    #杏炭
    charcoalUsedForTeaCeremony

    煉炭SS① たっぷりの大根おろしと小口切りの葱が乗った温かい蕎麦を食べ終わる頃には、テレビの歌番組も終わりかけていた。
    画面には色とりどりの衣装に身を包んだ大勢の出演者たちが煌びやかなステージに集まり、この歌合戦という名目の勝敗を今か今かと待ち構えているようだった。投票で決まったこの勝負は、どうやら今年は赤組が勝ったらしい。司会の女性が目を腫らしながら感想を述べていたかと思ったら、画面は急に静けさを取り戻し、厳かな鐘の音だけが響いていた。
    リビングの壁にかかっている時計にちらりと目を向けると、時刻は23時45分を20秒ほど過ぎた頃だった。
    今年も残すところあと15分足らずらしい。
    「あ、除夜の鐘…。いい音ですね。」
    「そうだな。今年もあと少しなんだな。早いものだ…。」
    「除夜の鐘って、108回鳴らすんでしたよね?」
    「あぁ。107回までは今年のうちに、108回目は年が明けてからつくらしい。」
    中継先の神社では、粛々と年越しを迎えようとする人々の様子を静かに映していた。厳かに、新たな年に想いを馳せるかの人たちのように、静かで穏やかな年の瀬だった。
    「杏寿郎さん、何か飲みますか?」
    「うん。今日買ってきたワインでも開けるとしよう。」
    そうですね、と返事をした炭治郎は静かに立ち上がるとキッチンカウンターからボトル1本と、白いお皿を持ってきた。ミニトマトとモッツァレラチーズのバジル添えと、生ハムとアボカドディップのピンチョスだった。いつの間に仕込んでおいたのか、いつも彼の準備の良さには驚かされる。
    2つ用意されたワイングラスにそのボルドー色の液体を注ぐと、互いに少しだけグラスを掲げて、小さく乾杯をした。
    二人でまた新しい年を迎えることができることが何よりの幸せなんだと思う。
    今、俺たちは鬼のいない平和な世界で、こうしてまた巡り会い、共に生きている。
    「杏寿郎さん。」
    「うん?」
    「あけましておめでとうございます。」
    「ああ。おめでとう、炭治郎。」
    「今年も良い年になるといいですね!」
    「なるさ。君と一緒なら。」
    108回目の鐘の音を聴きながら、杏寿郎は可愛い恋人をその腕に抱き寄せたのだった。
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