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    kazeaki_twst

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    アズ監🌸「戻れない日々の続きを歩いて行く」②

    #twst夢
    #アズ監
    azSupervisor
    #女監督生
    femaleCollegeStudent

    その日、アズールは大学の講義を受けていた。そして、その後には、同じ大学だが他の学部に進学したジェイドとフロイドと合流し、モストロ・ラウンジに向かう予定にしていた。いつもと同じ大学の講義、教授の声。
     その中に、不意に
    ───『ア…ズール…せんぱ…』
    柔らかな、女性の声がアズールの脳裏に響いた。それはよく知った、大切な人の声。
     その瞬間、弾かれたようにアズールは立ち上がた。どくどくと変に心臓が高鳴り、オーバーブロットした時のように黒い墨がぽたぽたと胸の内に垂れ、酷く不安を煽る。
    (監督生…さん?)
     喉がカラカラに乾いて、息が上手く出来ない。初めて陸に上がった時とよく似た枯渇感が襲う。
    「アーシェングロット?何か質問か?」
    怪訝そうな教授の声が耳に届く。そこで、初めてアズールは自分が急に席を立ち、授業を中断してしまったことに気がついた。今まで何も聞こえなかった教室のざわめきが周りに戻ってくる。
    「あ、いえ…急に立ち上がってすみません。教授ここについて…」
    動揺を隠すように、アズールはにこりと笑い、予習していた内容を質問した。しかし、机の上に広げていたルーズリーフは強く握り込まれ、皺が寄り使い物にならなくなっていた。

    「はぁ?小エビちゃんの気配が無い?」
    フロイドが怪訝そうに眉を顰めた。その横にいるジェイドも怪訝そうに首を傾げる。
     アズールは、授業が終わるなり飛び出すように教室を出て、2人の待ち合わせ場所へと走った。先程、授業中に感じたあの気配の後、ずっと自分が在学中に使用していた魔法石の欠片───監督生に贈ったネックレスの魔法石の気配を探っていた。
     しかし、それが見つからないのだ。待ち合わせ場所へ着くなり、既に到着していた双子に授業中にあった出来事を話した。
    「いえ、監督生さんの気配ではなく、僕が贈った魔法石の欠片の気配が無いんです」
    アズールの只ならぬ様子に、普段なら『うぇ…重すぎ…』『アズール、それは世に言うストーカーではないですか?』と茶化す双子も何も言わなかった。足早く、学内にある鏡舎へと向かう。
    「魔法石の気配が無い…。早々起こることの無いことですが、あの監督生さんの身につけているブレスレットで阻害されているんでしょうか?」
    「いえ、身につけいているところが遠いため、それは無いかと。昨日も平気でしたし…。とにかく、僕はまずオンボロ寮へ向かいます」
    「俺も〜、小エビちゃんに久しぶりに会いたいし」
    「僕も、気になりますから、久しぶりにオンボロ寮へ行きます」
    そうこうしながら、3人がオンボロ寮に着くと、そこにはグリムとクルーウェルの姿があった。何やら話して、クルーウェルは足早く校舎の方へ向かっていのが見えた。
    「グリムさん、監督生さんは?」
    アズールが息を切らしながら来て、その後ろには苦手なウツボの双子がいるにも関わらずグリムはいつものように逃げたりしなかった。逆に驚きもしなかった。
     その青の瞳や炎が今にも吹き消えてしまいそうなくらい不安げに揺れていた。
    「子分が…ユウがいないんだぞ…」
    その言葉を聞くなり、アズールはオンボロ寮の戸を開けて一目散に監督生の部屋へと走った。前に、オンボロ寮を貰う契約をした時に双子が調べ上げた間取りは今でも頭の中に入っていた。そのため、初めて入るオンボロ寮だが迷うことなく監督生の部屋へと向かう。
    「ユウさんっ!」
    走りすぎて酸欠気味になりながらも、声を張り上げ戸を開いた。しかし、そこには誰の姿もなかった。綺麗にハンガーにかけられた制服。不自然に落ちた部屋着と一緒に銀のチェーンとラピスラズリのブレスレットだけがあった。しかし、そこについていたはずの、アズールの魔法石の欠片は持ち主同様なくなっていた。
     アズールは、呆然と立ち尽くした。
    「一緒に研修から帰ってきて…外に出た気配もないのに…子分はいなくなっちまったんだゾ…」
     しょげながらグリムが部屋へ入ってくる。それと同時に双子が少し警戒しながら入ってくる。
    「何か、魔法が使用された形跡は無いようですが…なんか変な感じがしますね」
    「うん…。なんかこう…上手くいえねぇけど…綺麗になりすぎな感じがする」
    フロイドとジェイドが部屋の中をゆっくりと見回す。その視線の先が、一箇所で止まる。そこは、ちょうどアズールが銀のチェーンを拾ったところ。
    「そこで、アズールの魔力が切れてる。あと…もう一つ、なんか魔力があるものがある」
    フロイドがはっきりと言い切る。フロイドは、こう見えても繊細な魔力を感知するのは長けていた。人魚の時に培った野生の勘が強いのだろう。
    「あ〜、でも、もう一つの魔力はぼんやりして何かわかんねぇ」
    がしがしとフロイドが苛立つように頭をかいた。
     その言葉に、アズールは頬を叩かれたような気持ちになった。呆然としている場合では無い。
    (考えろ…アズール・アーシェングロット。周りをよく見ろ。何か…何か…監督生さんに繋がる何かがあるはずだ…)
    アズールの呆然とした瞳に光が戻る。そして、フロイドの言った辺りを注意深く見つめる。何かあるはずだ。開け放たれた窓、落ちている部屋着と銀の鎖。そして、監督生が肌身離さずつけていた認識を阻害するラピスラズリのブレスレット。飾っている姿見の鏡。
     その時、ふと監督生が以前言っていたことを思い出した。監督生は、別の世界から来たのだと。女性であり、それが周りにバレないように認識を阻害する呪いのかけてあるブレスレットを身につけているのだと。そして、その呪いは学園長が施したものであると。
     アズールはそこで一つの結論に至る。
    「アズール…もしかして、これは…」
    ジェイドも同じ結論に至ったようで、俄かに信じられない表情をする。普段、感情を素直に表に出すことの少ないジェイドが隠せないほどの突拍子もない結論だが、それ以外にアズールも考えられなかった。
    「えぇ…もしかしたら…監督生さんは…」
    静まり返るオンボロ寮にポツリと落ちる。

    「元の世界に…帰ったのかも…しれません。…かなり強制的に…」

    言葉に出してしまえば、そうとしか考えられなくなる。
     不自然に落ちた、銀の鎖を拾う。そこにはアズールの魔法石が鎖が千切れたわけでもないのに、ついていない。しかし、同じように身につけていたラピスラズリのブレスレットは床に落ちていた。それはつまり…

    (彼女は、まだ僕の魔法石を持っている。この世界のものは全て弾かれたにも関わらず、なぜ僕の魔法石だけを持って消えたのかは分かりませんが…)

    しかし、それこそ途切れてしまった彼女と自分を繋げる細い細い糸になるものだとアズールは確信する。

     強く銀の鎖を握りしめる。
    脳裏をよぎるのは、あの時───卒業時に見た、星空と潤む黒曜石の瞳。アズールの胸に頬を寄せ全幅の信頼を与えてくれた彼女の姿。そして、ネックレスを贈った時に見せた幸せそうな微笑み。

    (必ず、彼女を取り戻す。何をしてでも…たとえ、彼女が帰りたくないと言っても…)

    人魚の恋は一途だ。たとえ、種族が違おうが、海と陸で住むところが違おうが、そんなの関係ない。あの伝説の人魚姫が、海の魔女に対価として人魚にとって大事な「歌」となる「声」を差し出してまでも追い続けたのだ。

    たとえ、世界が違っても追い続けてやる。手放してやるものか。

    アズールの蒼い瞳に、蒼い炎が灯った瞬間だった。
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    DONEシルバーと恋人同士のnot監督生が、監督生さんに絡まれる話

    !ご都合設定強め
    not監督生(名前はユウ)
    監督生の名前は出てきません。
    ⚔が好きな勘違い脳内お花畑ちゃん。
    ♥♠が監督生側に付いてるので少し嫌なことを言ったりします。でもあんまり深く考えてなさそう。

    シルバーはよく喋ります。
    口調を含めて、キャライメージ違い注意

    上記内容が、苦手な方は閲覧をお気を付け下さい。
    シルバーと恋人同士のnot監督生が、監督生さんに絡まれる話

    !ご都合設定強め

    not監督生(しかし名前はユウです。)
    シルバーとは恋人同士、ディアソメンバにも可愛がられでます。
    カレッジに通ってる2年生、not監督生なのでオンボロ寮生ではありません。(ディアソムニア寮生がいいなと思いつつ、男子校なので…ご都合設定です。)

    監督生の名前は出てきません。
    シルバーが好きな勘違い脳内お花畑ちゃん。
    エースデュースが監督生側に付いてるので少し嫌なことを言ったりします。でもあんまり深く考えてなさそう。

    シルバーはよく喋ります。
    口調を含めて、キャライメージ違い注意。

    視点がnot監督生なので、よく喋ります。

    上記内容が、苦手な方は閲覧をお気を付け下さい。





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    「ユウ先輩、いい加減話したらどーなんっすか?」
    「話…?」

    いや本当にわからない。今の状況が、…だ。
    目の前居るこの子たちは噂で聞いたことがある、なんでも別の世界から来たとかいう監督生さん、と、仲が良いと言われて 7425