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    Jem

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    Jem

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    グリフィンドール🍃さん×スリザリン🐍さんのさねおば、また書きました…😅
     え、めちゃ良くないですか、お節介庶民攻め🍃さんが悩んで、ツンデレ貴族受け🐍さんが包容するって…🥹モエー

    #さねおば
    aunt
    #不死川実弥
    #伊黒小芭内
    Iguro Obanai
    #ホグワーツ
    #ハリポタパロ
    hollywoodPotterParody
    #鬼滅の刃
    DemonSlayer
    #腐滅の刃
    sink-or-swimSituation
    #腐向け
    Rot

    倫敦小景②資格なき者 ベイカー街の外れ、赤茶けた煉瓦の3階建。《蛇と狼の魔法探偵事務所》の郵便受けに、金の箔押しで飾られた壮麗な封筒が届いたのは3日前のこと。その封筒は、今、封を切られたまま暖炉の上に放られていた。

     ――我が高貴なる友よ

     初夏の陽光の下、世界は勇気と希望に満ち、貴殿が誇り高く立っていることと、心より信じております。

     ここに、我らがグリフィンドール寮への集いへの招待状をお送りします。どうかご参席いただき、共に友情の声を上げ、あの尊き学舎で結ばれた絆を新たにいたしましょう。

    ……

    「…Yours in courage…監督生・煉獄杏寿郎、あいつらしいよな」

     不死川が、取り出した手紙をまたテーブルの上に放った。3日前から、開けては放り、また取り出しては…。
     ランプの灯は小さく抑えられ、室内は薄暗い。
     不死川はソファに背を預け、封筒から目を逸らす。夜気の差し込む窓辺から、銀色に輝く月を睨み上げた。

     ――俺が、グリフィンドール寮?
     
     思い出すたびに、胸の奥がざらつく。
     幼い頃、悪魔に憑かれて家族に襲いかかった母を、この手で仕留めた。
     あの血の温度。歪んだ母の咆哮。

     ――勇敢さだの、誇りだの。…そんなもの、俺にはねェ。

     「お前が物思いに耽るとは、珍しいな」

     気配もなく、背後から声をかけられた。
     影の中から湧き出すように、伊黒がするりと窓辺に歩み寄る。
     首元に侍らせた白蛇の鱗が、月明かりを細く反射していた。

     「グリフィンドールの、脳筋が」

     くすりと笑むように、空気が揺れる。

    「るせぇ、こんなの…行かねェよ」

     不死川の口中に苦味が広がる。伊黒が、ついと手紙を取り上げ、目を走らせる。

    「交流会…行けばいいだろう。たまには、お節介で向こう見ずな仲間たちと、羽を伸ばす必要があるんじゃないのかね」

    「俺は……!!」

     知らず、不死川の声は大きく響いた。

    「…母を、殺した」

     絞り出すような告白に、伊黒が片眉を持ち上げた。

    「悪魔に憑かれて、家族に襲いかかったんだ。なんでだか、わかんねぇ。小柄で優しい女だったのに!放蕩者の親父の分まで働いて…でも…子供にはいつも笑顔で…」

    「…その善性こそが、悪魔の嗜虐心を煽ることもあるだろうな」

     伊黒が、静かに、揺るぎなく告げる。ほっそりとした身が、ガウンの裾を払って、不死川の隣に腰掛けた。

    「…スリザリン生なら、どう考える…?」

     不死川の声は低かった。

    「グリフィンドールなんざ、俺には…煉獄みてぇな奴とは違うんだよ!俺には、そんな資格、ねェ…」

     伊黒が短く息を吐いた。

    「ならば、誇るべきだな。無意味な看板に自分を押し込めずに済んだ、と」

     毒のように冷たく、乾いた口調。だが、その奥に小さな温もりがあった。

    「お前の決断で、生き延びたのだろう?何を恥じることがある?――お前はお前だ。何がどうあろうとも、不死川実弥でしかない。それでは足りぬか」

     沈黙が、二人の間に落ちる。
     不死川は、ふ、と目を伏せた。

    「…馬鹿馬鹿しい軛に足を取られている暇があるなら、紅茶を淹れてくれ」

     唐突に、伊黒が言った。

    「今、湯を沸かしたはずが――石油のように燃え立っている」

    「はぁ!?また魔法でキッチン立ったのかよ!?やめとけ、ったく……」

     慌てて立ち上がる不死川の背中を、伊黒は何も言わず見送った。
     ――伊黒が、誰のために湯を沸かし始めたのか――小さな秘密は、夜霧に溶ける。

     湯気の立つポットが並ぶ頃、部屋にはもう、月明かりよりも柔らかい香りが満ちていた。


    〈いつかの2人の物語〉
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