Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    Jem

    Jemです!成人済み。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 60

    Jem

    ☆quiet follow

    カクヨム版『秘園都市』から、書き下ろしあとがきを逆輸入!今回は、🐍🍡の🌸撮影後ミニインタビュー風🌸に仕上げました。
     もう一度読み返したい『秘園都市』、第1話はこちら!→https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14085548

    #伊黒小芭内
    Iguro Obanai
    #甘露寺蜜璃
    ganryujiMiluri
    #おばみつ
    #小説
    novel
    #あとがき
    postscript
    #鬼滅の刃2次創作
    oniNoKiriNoKaji2nd

    『秘園都市』撮影後ミニインタビュー風あとがき(ゆったりとしたジャズの流れる、落ち着いた空間。重厚なレザーソファに腰掛ける伊黒と甘露寺。ウェイターが静かにコーヒーを並べて、立ち去る)

     伊黒「こんにちは。今日は、『老兵は死なず、ただ去るのみ。』シリーズ第3弾『秘園都市』の撮影後インタビューということで。伊黒です。よろしくお願いします」

     甘露寺「蜜璃です!よろしくお願いします。〜〜…私が大活躍する『ジューン・ブライドは許さない』がシリーズ3番目かなって思ってたんですけど…?」

     伊黒「(微笑)あれは、スピンオフだから。またいつか話そう。『秘園都市』が本編第3弾」

     甘露寺「はい!この『秘園都市』も、私、大好きなんです。まず、背景が綺麗ですよね。雪降るノエル、秘められた聖少女たちの学園で、1人1人消えていった少女たち」

     伊黒「ハードボイルド作品としては、異色だよね。フランス式庭園、尖塔の時計台。性格の違う4つの寮に君臨する“カトル・エトワール”のお茶会…学園百合ものの文法をそのままなぞって見せる」

     甘露寺「そうなんです。そこに現れる、上流の学園に紛れ込んだ身分違いのヒロインたち。ヤクザの娘・梅ちゃんと下町の特待生・羊子ちゃんの、ほのかな恋にも近い友情!小さなガラス細工みたいです!可愛い!尊い!!」(身を捩って悶絶する甘露寺)

     伊黒「そして、蜜璃はOGとして、この学園の暗部を暴いていくことになる。学園百合ものでは滅多に描かれない、“少女の世界の外部”からの視線が交差していくんだよね。そこは、かつての少女たち、大人の女性読者の心にもグッと踏み込めるんじゃないかな。ただ目を細めて慈しむ夢の描写を超えてね」

     甘露寺「そして、伊黒さんと宇髄さんのハードボイルド組は…(プフッと笑いが溢れる)
     ほとんどコメディ担当でしたね!何かとすぐに興奮して銃を乱射する依頼人・妓夫太郎…妹の梅ちゃんを想うあまりに暴走する若頭、ていう設定だけで、もう!」

     伊黒「あれはひどい(笑)任務の報告に行っただけで跳弾の嵐。しかも貧しい0番街に防弾ヘルメットなんてないから、かぶらされたのは鍋」

    (ソファの上で、体を折って笑い転げる甘露寺)

     甘露寺「そしてっ…フェロモンが溢れ過ぎて、学園立ち入り禁止になる!だめですよ、乙女の聖園で大人の色気振り撒いちゃ!(手を叩いて爆笑)」

     伊黒「無理無理。対策不能。何もしてない。存在してただけだから(笑)」

     甘露寺「挙句に、始末書が“ナントカがついててスイマセン”…!!」

    (とっさに、伊黒が優しく甘露寺の口を押さえる。)

     伊黒「君は、そんなこと言わなくていい。…このドタバタな謝花組と共闘して、最後のクライマックス・アクションにつながっていく」

     甘露寺「はいっ、雪の聖夜、梅ちゃん奪還作戦!私、モニターで観てて手に汗握りましたぁ〜!」

     伊黒「でもね。本当の大トリは、その翌日。犯人の部屋に乗り込んだ蜜璃のシーンだった。“先生が守りたかった“皆”って、誰のことですか!?私は、この学園で学ぶ女の子皆のことだと思ってました!!”て、涙ながらに叫ぶシーンね。ほんとに、この作品のメッセージ全てが詰まっていたと思う」

     甘露寺「OGだから、わかることなんですよね。私は、下層の女の子の犠牲の上に築かれた、上流の夢の中で育ったプリンセスで…その夢が欺瞞だったというショック。でも、夢の中で築かれた“皆に愛を”という道徳観は本物なんですよ。だから、切り込んでいける」

     伊黒「まさに、古典少女小説が提示する“本物のレディとは”という問いの答えなんだよね。平等な愛のために戦う蜜璃の姿は。そういう意味で、このシーンは、ハードボイルド面の陰謀の回収でもあると同時に、学園百合面の少女の成長譚の回収でもある」

     甘露寺「そして!ラストシーンの読後感がいいですよね。学園が潰れた後、0番街に帰る梅ちゃんを見送る羊子ちゃん。羊子ちゃん、学園にいる時と口調が違うんですよ。背伸びしたお嬢様語だったのが、自然体の下町喋りに戻る」

     伊黒「そうだな。とても象徴的な演出だったと思う。梅は兄の娼館を手伝う、羊子は薬剤師を目指す…いかにも地道で、でも確かに彼女たちの現在から続いていく将来図なんだ」

     甘露寺「ですね!“同じ空の下、どこまでも広がる同じ大地を踏みしめていると信じて、アタシ達は巣立っていく”…ここ、めっちゃカッコいいです!華やかな“桜の園”はなくなっても、むしろ地味な人生が、力強くてカッコいい」

     伊黒「うん、そういう意味では、このラストはプロレタリア文学の香りもするな。イプセン『人形の家』やチェーホフ『桜の園』をモチーフにして、上流階級の欺瞞とそこから解放された少女たちの伸びやかさを讃える、という」

     甘露寺「うーん…?小芭内さん、すぐ難しい話、始めるからァ…。(コーヒーフロートのストローをひと吸い)
     でもっ、難しい理屈抜きで全ッ然、楽しめるので!ハードボイルド好きも、百合好きも、コメディ好きも、アクション好きも、みーんなまとめて読んじゃいましょー!
     さーて、『老兵は死なず、ただ去るのみ。』シリーズ第4弾、次の事件は?」

     伊黒「社会浄化を謳うテロリストが、障害者施設を爆破!グループに“洗脳された”?青年たちを追って、俺と宇髄が走ります。乞うご期待!」

     甘露寺「はい!宇髄さん×善逸くん、小芭内さん×私のラブラブも、いつも通りたっぷり盛り込まれていますよ♡お楽しみに」

     伊黒「ほんとに、何ジャンルなんだろうな、この作品…(苦笑)」

    (伊黒と甘露寺が頬を合わせて、コーヒーを持ち上げる。映像カット。)
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    nmm_0416

    MEMO新刊のあとがきが書けなかったので、イラスト本の解説のようなものです。
    本を作るぞ!となってから考えたこととか紙や加工のこだわりのこととか。裏話的なのが読みたい方だけどうぞ!
    今回は「影山、ちゅーして!」のお話。
    「影山、ちゅーして!」のお話ひなたくんのお誕生日に向けてtwitterで更新していた1日1コマ漫画をまとめた本です。

    お誕生日漫画完結のタイミングで、仲良しのフォロワーさんから「紙にしてください!きっと正方形の絵本みたいな漫画本にしたらかわいい!!」と言っていただいたのをきっかけに、その案をそのままありがたーーく頂戴して作らせていただきました(ありがとうございます!!)

    なるべくツイッター連載の雰囲気そのままになるようにということを意識していて。
    影山くん視点で始まるお話なので、絵で見てとれるひなたくんの表情と言葉のほかにツイートで影山くんの言葉を補足していたので、その部分をどうしようかな〜と結構ギリギリまで悩んでいました。
    手書きで追加することも考えたんですが、すでにひなたくんのセリフがイラストにしっかり入っている絵ばかりだったので、悩んだ末、ページ上の余白に小さく書体で入れることにしました。
    1778

    recommended works

    創作部部誌班

    DONEタイトル:不純異族交友
    作者:智紫国基
    テーマ:海辺の縁日
    今年のテーマ「海辺の縁日」を舞台に書いた小説です。ちょっと不思議な出会いと友情の物語。
    不純異族交友
    智紫国基



     目を開くと、そこは、真夏の海辺だった。



    「────、は?」
     いやいやいや、ちょっと待ってくれ。海辺だった、じゃない。
     俺はついさっきまで塾にいた。そう、普通に、どこにでもいる高校生のように。数学の授業を受けてて、少し眠くなって来たから一度目を閉じて、先生にバレる前に起きなきゃと思って、ちょっとの罪悪感と共に目を開いて。
    「………夢じゃ、ない」
     何度目を擦っても、頬を抓っても、やたら難しい数式が並んだ黒板もハゲた講師も、眠たそうな同級生も現れない。
     俺が立っているのはやっぱり白い砂浜で、眼前に広がるのは青い海と雲ひとつない晴天。あとそろそろ頬が痛い。
     どうやら、本気で俺はどこかの海にワープしてしまったようだった。

     これ、帰れんのかな。つーか、どこだここ。
     とりあえず歩き回ってみてわかったのは、ここは俺の知っている近所の海岸でも、一度だけ家族で訪れたことのある南の島でもないということ。
     おまけに誰もいない。広い砂浜には俺一人だけ。建物もない。海水浴場ではないのだろうか。私有地? まさか、未踏の海岸だなんて言わないよな? 地球じゃないと 6750