決闘必須って訳じゃ無い「なあ、三木ヱ門」
会計委員会から持ち帰ってきた帳簿の計算をする三木ヱ門の背中に守一郎が声をかける。いつも溌剌としてハキハキと大声で喋る守一郎にしては珍しく沈んだ声だ。
三木ヱ門は算盤を操る手を止めて振り返る。
「どうした?」
「……来年には俺や三木ヱ門が委員会の委員長代理になるだろ?」
「そうだな」
三木ヱ門が所属する会計と守一郎が所属する用具、それに滝夜叉丸の体育、喜八郎の作法は現六年が抜ければ最高学年にあたり、彼らは四年生ながらに補佐を務めている。
「食満先輩と潮江先輩みたいに、俺も三木ヱ門とやりあわなきゃいけないんだろうか」
「…………はあ?」
去年はそんなことなかった。いやまあ去年もそこそこ予算会議と書いて合戦と読むに偽りなしではあったけれど、比較的図書委員長あたりは毎年穏やか(あくまで当社比である)だし、一昨年もそのようなかんじだったと記憶している。
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