結局似たもの同士長年好敵手として接してきてしまったせいで素直になることも難しく、また、生来の性格も相俟って言葉が足りない。そんな同室を仙蔵は六年間見続け、時に尻を蹴り飛ばしてきた。
それが先日、ようやく実を結び、花開いたと報告を受けたら思わず腹から声が出ても致し方ないだろう。
「よくやった、文次郎!よし、秘蔵の酒でも開けてやろうではないか!」
「……おう。……して、仙蔵」
「うん?」
仙蔵はウッキウキで酒瓶を出し、猪口はないので湯飲みを探した。
「お前は言わんのか?ーー長次に」
掴み損ねた湯飲みがガシャンと割れた。