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    hisagi_s58

    書けなくなったのとか、文字数少ないのとか、表におけないゴニョゴニョしたもの置き場

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    hisagi_s58

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    最初に書いてた2/14ネタはこっちでした。
    没ったの書き直したけど、難しかったので供養。

    行かないで、なんて女々しいことは言えない。
    けれど自分以外の人に目移りしてしまうのは嫌だ…そんなことを考えてしまっている時点で女々しくて、自分が嫌になる。
    帰ってきたら、きっと服から香る知らない甘い匂いに胸が締め付けられるんだろう。
    宿の部屋で一人そんなことばかり、さっきから考えている。

    扉の開く音がして、顔を向けるとククールがいた。
    「ただいま」
    「…おかえり」
    ああ、きっと女の人の香りがするんだろう。そう思うと内心は複雑で、何気ない言葉も詰まったような声になってしまう。
    「なんて顔してんだよ」
    顎に手をかけて上を向かされる。
    「泣きそうな顔してるけど、何かあったか?」
    「何も…。随分早いね。何処行ってたの?」
    「ちょっと通りの店まで」
    そう言いながら上着を椅子に掛け、ククールが隣に腰掛ける。きっと香水の匂いがするのだろうと思ったが、何も香りがしない。
    「エイト、これ」
    そう言ってククールから綺麗な紙で包まれた箱を渡される。
    「何これ」
    「今日は好きな奴にチョコをあげる日なんだけど、知らないのか?」
    そう言われてみれば通りのお店にはチョコレートが積まれていたし、いつもより街が甘い香りに包まれていた気がする。
    「酒場に行ったんじゃなかったの?」
    「いや、行ってない」
    勝手に誤解していてククールに申し訳ないという気持ちと、これは『嫉妬』という感情だということに今更ながら気づかされる。

    貰った箱をテーブルの上に置いて、大きく一つ深呼吸をする。
    「あのさ、好き、みたいなんだ、ククールのことが…」
    「やっと気付いたのかよ」
    苦笑しながらククールが言う。よくよく考えてみれば好きだと言われていたけれど、自分から好きだと伝えたことはなかったような気がする。
    「ごめん…」
    小さく呟くと、髪の毛をくしゃくしゃにされた。
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