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    2022/06/12〜13 ココフォログ 前回のつづき
    やっすんちの鵜野澪さんとうちの東惣太郎

    ②鵜野澪&東惣太郎 邂逅編 ーAM7:00 コメダ珈琲店ー

    東惣太郎 : 「いやあ、本当に助かりました!まさか側溝の中に落ちてるとは」

    鵜野澪 : 「……いえ、いや、本当にまさか、でしたね」

    東惣太郎 : 「網なんて、一人じゃ絶対に外せませんでしたよ。………あ、僕はコメダ珈琲を。澪さんは?」

    鵜野澪 : 「さすがに、疲れました、ね……。ミルクコーヒーをひとつお願いします」

    東惣太郎 : 「無理させちゃってすみません……お仕事の方、支障ありませんか?……ああ、Bで。ついでにカツパンください」

    鵜野澪 : 「いえ、問題ありません。……私はAを。お願いします」

    東惣太郎 : そういえば、作家って仰ってましたよね。小説ですか?

    鵜野澪 : 「……ええ、あまり大げさなものでもありませんか」

    東惣太郎 : 「へえ、すごいなあ。ちなみになんて本書いてるんですか?」

    鵜野澪 : 「…………。主に、オカルト小説を書いています」

    東惣太郎 : 「ああ、それであんな時間に……オカルト小説、子どもにも結構人気なのでよく読むんですよねえ。もしかしたら、見たことくらいはあるかも?」

    鵜野澪 : 「……どうでしょう。東さんは、やはりお子さんと接する機会が多いんですね」

    東惣太郎 : 「そうですね。保護施設の子と、カウンセリングも兼ねて。もっとも、僕が好きで遊んでるところもありますけど」

    鵜野澪 : 「子どもと接する、と言うのは難しいことも多いでしょうね。……私も、経験がないではないですが」

    東惣太郎 : 「そうですね、気難しい子もいますから……でもまあ、ちょっとずつ心を開いてもらえるのはやりがいにもなりますね。あ、ミルクコーヒーはそちらに」

    鵜野澪 : 「……ありがとうございます」

    東惣太郎 : 「というか、澪さんも子どもと触れ合うことがあるんですね。なんか以外だなあ……」

    鵜野澪 : 「そうでしょうか?妹がひとりと……前に、少しだけ小さな女の子と接したことが」

    東惣太郎 : 「へえ~。たまにそういう交流もあると癒されますよね。親戚の子とかですか」

    鵜野澪 : 「いえ、たまたま出会っただけ、なんですが……。随分と前のことなので、今頃はもう立派に成長しているでしょうね」

    東惣太郎 : 「そんなに昔なんですか。もしかしたら、大人になってからどこかで会ってるかもしれませんね」

    鵜野澪 : 「……そうだとしても、私のことは忘れていてくれればと思います」

    東惣太郎 : 「……ふふ。元気でいてくれるといいですね。……おっと、失礼」

    鵜野澪 : 「いえ、お構いなく」

    東惣太郎 : 「はい、東です。……ああ、少し休憩を。え?今?それは……………………………はい…………わかりました。失礼します」

    鵜野澪 : 「お仕事ですか?」

    東惣太郎 : 「はい………すぐ事務所に来いとのことです。すみません、バタバタしてるみたいで」

    鵜野澪 : 「いえ、お疲れ様です。ここは私が持ちますので、気をつけてお帰りください」

    東惣太郎 : 「いやいや、つき合わせたのは僕なので……改めて、今日はありがとうございました。なんだか不思議な日になっちゃいましたけど」

    鵜野澪 : 「元はと言えば、私があなたのお仕事を増やしてしまったのが……、いえ、あなたは諦めが悪そうだ。では、割り勘で。……こちらこそ、ありがとうございました」

    東惣太郎 : 「あはは、ご理解いただけて何より。では、またどこかで」

    鵜野澪 : 「ええ、また」

     喫茶店で話し込むこと1時間半、時刻は午前9時を回っている。
     童顔と低身長の奇妙な出会い。この喫茶店を一歩出れば、二人はそれぞれの日常に戻ることになる。子どもと間違い間違われたことも、携帯を探し回ったことも、共に珈琲を啜ったことも、すべて始めから無かったかのように。
     それでも、これは現実だ。
     今日の小さな非日常が、大きな非日常へと姿を変える時。彼らは同じ場所に招び寄せられることだろう。大口を開けて待つ“何か”は彼らの再会を祝福するのか。それとも────……

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