東離猫奴世界(2)刑亥は恐れおののいた。
魔界きって術師の姉上に加え、あの凜雪鴉でさえ猫の下僕になってしまった。
刑亥は凜雪鴉を100回殺しても足りないほど憎んでいたが、それ故にあの悪党が如何に煮ても焼いても食えない存在かも理解している。
狡猾な魔族を詐術で謀るほどの抜け目なさには一目置いていると言っていい。
その悪知恵の働く掠風竊塵が猫の手下になってしまった。
猫たちは手強い。
人間界を征服した猫たちは、次は魔界を狙うかもしれない。
至急、この危険を魔界に知らせなければ。
あのお方に頼るしかないのか。
ちらりと殤不患と萬軍破を横目で見た。
この人間達は邪魔だが、まずは猫の危険とこの窮状を魔界に知らせ、助けを呼ぶのが先決だ。
こいつらは、いずれ始末をつければ良い。
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